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新入社員がいきなり課長級のサムスン

配属の希望をどこまで反映させるべきか?

2013年5月16日(木)

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 第1回は就活、第2回は新入社員研修について、日韓企業の違いを考えてきた本コラム。第3回の今回は、この流れに従い新入社員の“配属”について取り上げたい。

 新入社員にとって配属先の発表は、やや大げさに言ってしまえば、その後の人生を左右しかねないイベントといえる。少なくとも数年間の業務内容や勤務地などが決定してしまうからだ。

 もちろん、新入社員の配属についての考え方は企業によって異なる。だが、大きく(1)学生時代の専攻や本人の希望を優先する企業、(2)配属現場の要望を優先し本人の希望をあまり考慮しない企業――の2つに分類できるだろう。筆者が在籍したホンダと韓国サムスングループは、異なるスタンスを取っていた。

新入社員の希望と配属先をマッチさせる

 (1)の学生時代の専攻や本人の希望先を優先させているのが、サムスングループだ。このため、配属先に不満を感じるケースはほぼないに等しい。新入社員のほとんどは、意気揚々と社会人として初の業務に夢と希望を持って関わっていく。

 ここで注意したいのが、サムスンの新入社員にとっての夢や希望が、日本人の感覚とやや異なることだ。「与えられたテーマで成果を出すんだ」、という業務面の達成感を重視しているのではない。昇進を続けて役員に登用されることこそが、多くの新入社員にとっての夢と希望である。競争社会を生きてきたプライドと自己主張の強い韓国のナンバーワン企業ならではといえるだろう。

 サムスンで新入社員の配属希望が大きく反映される理由は、採用基準と関係している。博士号やMBA(経営学修士)の取得者に対する優遇制度があるのだ。理系社員の場合、学部卒、修士卒、博士卒ではそれぞれ格差を付けている。中でも博士号を取得してから入社すると、新入社員にもかかわらず課長級の役職と年俸が与えられる。企業側からすれば、入社してしばらくは育てようという意思はあまりなく、とにかく早く成果を出すことを期待しているのだ。日本企業の多くでは、博士号所有者は「我が強く扱いにくい」との理由から敬遠されるのとは大違いだ。

 また博士卒ほどではないが、修士卒や学部卒の新入社員に対しても、学生時代に学んできた専門分野と事業の関連性を考慮したうえで、配属が決定される。こういった点では、新入社員は優遇されているといえるだろう。

 ご存知の読者も多いかもしれないが、韓国は自己主張の強い国である。入社試験の面接においては、新卒だけでなく中途採用も含めて、本人の専門分野についてかなりの時間を割いて説明させる。この面接のおかげで、企業と新入社員の希望のミスマッチを防止できることにつながる。もちろん、自らの専門性の高さを上手くアピールできるかどうかが、合否の分かれ目となるのは言うまでもない。

 日本企業でも、その専門性や希望に応じて配属する企業も少なからずある。例えば、東芝には自分が希望する配属部署・職種にエントリーできる「配属予約制度」が存在する。紹介ページによると、あらかじめ本社オフィスや研究所や事業所を見学して実際の仕事を体感できるほか、予約が確定すれば入社後は希望の部署に優先的に配属されるという。だが、こうした企業は少ないのではないだろうか。

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「新入社員がいきなり課長級のサムスン」の著者

佐藤 登

佐藤 登(さとう・のぼる)

名古屋大学客員教授

1978年、本田技研工業に入社、車体の腐食防食技術の開発に従事。90年に本田技術研究所の基礎研究部門へ異動、電気自動車用の電池開発部門を築く。2004年、サムスンSDI常務に就任。2013年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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