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ロシア軍の騎兵は無用の長物だった

2013年5月28日(火)

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[一般のイメージ] 騎兵戦力ではロシア軍が圧倒的に優勢であったため、日本軍は苦戦を強いられた。
←ロシア騎兵は、銃器の発達に合わせて自らの役割を変化させることができず、戦局にほとんど貢献しなかった。

 日露戦争でロシア騎兵が優勢だったことは間違いない。例えば、奉天会戦に参加した騎兵部隊の数は、日本の58個中隊(1個騎兵中隊は163人)に対し、ロシアは151個中隊であった。

 さらに、ロシア騎兵の主力は有名なコサック騎兵だった。コサックとは、ウクライナやロシア南部の広大な平原地帯に存在した軍事共同体のことだ。乗馬が生活の一部であった上に、イスラム勢力との戦いの最前線に位置していた関係で騎馬戦闘に長じていた。つまり、質的にもロシア騎兵は日本を凌駕していたのである。

 歴史小説では、日本軍がいかに劣勢だったかを強調する材料として、この騎兵戦力の差を取り上げることが多い。その一方で、ロシア騎兵が実際に日本軍を苦しめた場面を記憶している読者はあまりいないだろう。それもそのはずだ。ロシア騎兵の活動は、戦局にほとんど影響しなかったのである。

ナポレオン時代の騎兵は戦場の花形

 日露戦争をさかのぼること100年前のナポレオン戦争では、騎兵は陸戦の中心的存在だった。

 当時の歩兵が装備していた銃の大半は、銃身内部に施条(しじょう ライフリング)がなく弾道が不安定だった。また、装薬に黒色火薬を使用していた関係で弾丸の初速(銃口から出た時の速度)が遅く、命中が期待できる射距離(実用射程)は、わずか50メートルだった。

 しかも、銃口から火薬と弾丸を入れ、棒で突き固めて装填する方式なので、次弾の発射までに20秒程度を要した。その間に時速60キロメートルの騎兵は300メートル以上疾走することができる。つまり、歩兵に与えられた射撃のチャンスは1発だけであった。

 人馬合わせて高さ2.5メートル、重量500キログラムの巨体が突進してくる光景は凄まじい。それに動揺した歩兵が射撃に失敗(大概はそうなってしまう)すれば、それで最期となる。慌てて逃げ出しても、たちまち追いつかれてサーベルで切り裂かれ、馬蹄に踏みにじられる。

 歩兵側の唯一の対抗手段は、密集隊形の方陣を形成し、その外周に銃剣を揃えて突き出すことだった。そうして騎兵が近づけないようにして、方陣の内側から銃火を浴びせるのだ。

 ただし、この密集隊形の方陣は格好の標的となる。騎兵を運用する側では、砲兵や散兵(散開して戦う歩兵)を繰り出し、方陣に向けて銃砲弾を次々と撃ち込む。そのダメージに耐えきれずに方陣が崩れ始めたところで、騎兵を投入して一気にけりをつけるというわけだ。

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「ロシア軍の騎兵は無用の長物だった」の著者

樋口 晴彦

樋口 晴彦(ひぐち・はるひこ)

警察大学校教授

危機管理、リスク管理に関して広い知見を有し、特に企業不祥事の研究では第一人者。また、戦国時代、日清・日露戦争、第二次世界大戦などの戦史をマネジメントの観点から分析。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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