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「創造的ものづくり」と「高付加価値サービス」が新しい中間層を生む

「人間ならではの得意分野」を生かす仕事の創出を

2013年5月27日(月)

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 ITの急速な進歩の下で人間の仕事が置き換えられている。製造業務に代表される中程度のスキルの就業者が担ってきた定型業務がITに置き換えられているのであれば、置き換えられにくいのはどのような業務なのか。

 第1回、第2回の議論を踏まえると、これからの仕事にとって重要なのは、人間ならではの得意分野(創造性、五感・感性、柔軟な運動機能など)を生かすこと、技術を「利用」しながら新しい価値を生み出していくこと、すなわち「イノベーション」である。

 イノベーションはいつの時代も提唱されてきており、いまさらという感じがするかもしれない。しかし、高い付加価値を生むために「これまでにない」ものを創り出す重要性はかつてないほど高まっている。

 イノベーションが実現しやすいのは製造業であるが、むしろ非製造業こそ、その必要性が高い。中程度の賃金の製造関連の雇用シェアが低下する一方で、増加が目立ったのは低賃金の非製造業分野である。低賃金状況を改善するには、非製造業においても、イノベーションを通じて高付加価値化を実現していく必要がある。

 第3回では、まず「イノベーション」について考察する。次に非製造業の高付加価値化の必要性について述べる。最後にイノベーションが促進されるためにはどのような政策が必要か検討する。

イノベーションとは「新しいもの」「新しい組み合わせ」

 イノベーションといえば、「技術革新」や「経営革新」といった概念が思い浮かぶが、シュンペーターがイノベーションを「新結合」と呼んでいたように、「新しいもの」「新しい組み合わせ」などを含む広い概念と考えられる。

 第1回で紹介したエンリコ・モレッティによれば、イノベーション部門とは、先進的な製造業、情報技術、生命科学、医療機器、ロボット、新素材、ナノテクノロジーなどが考えられるが、ハイテクに限らず、エンタテイメント、環境、金融、また消費者へのアプローチの仕方、余暇の新たな過ごし方などサービスもありうるとしている。共通していえるのは、「これまでにないもの」とのことである。

 このように、イノベーションとは、「新しい技術・財・サービス」を生み出すことはもちろん、既にある技術・財・サービスの「新しい組み合わせ、新しい利用方法」を実現することによって、「これまでにないもの」を創ることも含むと考えられる。その場合可能性はかなり広がり、担い手の裾野もかなり広くなるのではないだろうか。

 ITやデジタル製造技術の進歩はイノベーションの実現に一役買っている。3Dプリンターをはじめとするデジタル工作機械の出現により、試作品が作りやすくなり、柔軟に加工できるようになった。インターネットと宅配便の普及で、点在する需要を集約することができるようになり、海外の顧客とすら取引が容易になっている。

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「「創造的ものづくり」と「高付加価値サービス」が新しい中間層を生む」の著者

池永 肇恵

池永 肇恵(いけなが・としえ)

法政大学大学院政策創造研究科教授

東京大学教養学部卒業。経済企画庁に入庁し、同調査局、内閣府国民生活局、男女共同参画局、厚生労働省、一橋大学経済研究所准教授などを経て現職。労働市場の二極化、地域の雇用と産業を中心に研究している。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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