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アベノミクスには誤解がある

2013年5月29日(水)

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 異次元の金融緩和に伴う円安により、輸入物価が上がり、家計や中小企業に影響が出ているとの批判がある。実際、年明け以降に値上げが報じられた品目は、CPI(消費者物価)ベースで10品目にも及び、そのCPI押し上げ効果はプラス0.9%程度と試算される。そして、そのうちの0.7ポイント以上は小麦、電気、ガソリン、自賠責保険の計4品目の値上げ分のみで説明が可能となる。

 ただ、自賠責保険は円安とは無関係である。また、4月からの小麦値上げの要因となった昨年9月から今年2月までの円建て小麦相場の価格を分解すると、円安要因は4分の1程度にとどまる。さらに、10月以降の小麦売り渡し価格を左右する今年3月以降の買い付け価格は、国際相場の値下がりが円安要因を相殺しているため上昇していない。同様に、原油の輸入価格も国際相場の値下がりが円安を相殺しており、ガソリン価格も3月から8週連続で下がっている。

 一方、3カ月平均の化石燃料輸入価格が3カ月後の燃料費に反映される電気料金についても、これまでの値上げの半分以上はLNG(液化天然ガス)そのものの上昇によるものである。従って、年明け以降の値上げを円安の副作用と一くくりにするのは誤りであり、むしろ原材料そのものの価格高騰が主因といえる。

 むしろ、円安の恩恵はJカーブ効果により遅れて現れることが広く知られている。実際、内閣府の最新の短期日本マクロ計量モデル(2011年版)によれば、円の対ドル相場が10%減価すると、民間消費デフレータの上昇率よりも賃金上昇率のほうが高い。一方で、IMF(国際通貨基金)やOECD(経済協力開発機構)によれば、足元の対ドル購買力平価は1ドル=100円強である。従って、これまでの円安は少なくとも購買力平価から高すぎる円高の是正であり、悪と捕らえるべきではない。むしろ、輸入原材料価格そのものの負担増をいかに抑制するかが重要な問題といえる。

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「アベノミクスには誤解がある」の著者

永濱 利廣

永濱 利廣(ながはま・としひろ)

第一生命経済研究所主席エコノミスト

日本経済研究センター、東京大学大学院経済研究科修士課程等を経て、2008年4月から第一生命経済研究所経済調査部主席エコノミスト。経済統計、マクロ経済の実証分析を専門とし、内外経済の長期予測を担当する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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