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「技術に上下関係なし」を信じて痛い目に

トップダウンは絶対か(上)

2013年5月30日(木)

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 2週間ほど前の話題になるが、5月14日にシャープが社長交代人事を発表した。副社長の髙橋興三氏が昇格し、現社長の奥田隆氏はわずか1年余りで代表権のない会長に就く。突然の人事発表に驚かれた読者の方も多いのではないだろうか。

 シャープの経営危機については、既に多くのメディアが取り上げており、その点について掘り下げて書くつもりはない。ただし、技術者の立場から気になったのが、赤字に陥った元凶として挙げられる液晶事業への過剰投資だ。主導した現会長の片山幹雄氏は生粋の液晶技術者だけに、技術に対するこだわりが強く過剰投資を招いたことは残念でならない。その一方で、最終判断はトップである片山氏が下したものの、部下からの進言はなかったのか疑問を抱いてしまう。

 シャープの事例だけでなく、「トップの思い込み」は時として経営危機を招きかねない。ホンダ創業者である故・本田宗一郎氏は、最終的な判断は自ら下すものの「技術論議に上下関係はない」との信条を掲げていた。筆者自身、こうした創業者の考えに感銘を受け、ホンダ入社を決意した1人だった。

 とはいえ、ホンダの技術開発現場で本当に上下関係のない自由闊達な議論がなされていたかと問われれば、答えはノーだ。筆者がまだ新人だった1980年代、本田技術研究所の材料開発部門には『天皇』と称されるほど、研究開発の方向性を自らの判断のみで決定するF マネージャーが存在していた。

 幸か不幸か、筆者は入社4年目の1982年にそのマネージャーと衝突することになった。今回のコラムは、このマネージャーとの戦いを振り返りながら「研究開発におけるトップダウンの弊害」について考えてみたい。

製作所でも技術開発のチャンス

 まずは、そのマネージャーと衝突することになった開発テーマの背景から話そう。1980年は、日本の自動車メーカーが欧米市場に進出し始めた時期。国内での自動車販売が上向きつつあり、輸出によってさらなる販売拡大に期待が寄せられていた。

 しかし、安易な海外進出には大きな落とし穴があった。日本よりも緯度の高い欧米地域、すなわち米国の五大湖周辺以北や欧州のフランス以北では、冬場の道路が凍結しないように路面に岩塩を散布していたが、その対策を施さずに日本仕様の自動車をそのまま海外へ展開しようとしていたのだ。

 説明するまでもなく、車体やエンジン(内燃機関)部品は鉄系の素材から構成されているものが多い。特に車体は、耐腐食性を考慮した鋼板が適用されないまま(諸説紛々としていた模様で)塩害の可能性がある地域で販売されていた結果、車体の腐食による「錆問題」が深刻になりつつあった。

 当時の筆者の配属は、工場である鈴鹿製作所の塗装技術部門の技術スタッフ。上司から「佐藤君、この論文を読むように」との指示を受けて渡されたのが、鉄系素材の腐食メカニズムに関する英語論文。ここから、腐食問題に取り組んでいくことになる。

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「「技術に上下関係なし」を信じて痛い目に」の著者

佐藤 登

佐藤 登(さとう・のぼる)

名古屋大学客員教授

1978年、本田技研工業に入社、車体の腐食防食技術の開発に従事。90年に本田技術研究所の基礎研究部門へ異動、電気自動車用の電池開発部門を築く。2004年、サムスンSDI常務に就任。2013年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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