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「ゆとり教育」が日本のイノベーションのカギ?

中国で「快楽教育」の動きが始まった

2013年6月5日(水)

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 私は今まで中国の比較的若い中間層以上の世代(20代、30代)を中心に取材をしてきた。中国の将来を担い、オピニオンリーダーとなるであろう彼らが「実のところ、何を考えているか? その考えの源泉はどこからくるのか?」を知ることが、日中関係の未来を考える上で有益になると信じてきたからだ。

 日本のメディアでは、とかく農村の貧困や格差など中国の暗部に注目しがちだ。そこを起点に「だから、中国人は我々とはこんなに違うのだ」という結論を導き出すことが多い気がする。

 しかし、取材を重ねて私が思うことは「日本人も中国人も同じ人間で、何も変わらない」ということである。生活環境の違いや国家体制の違いによって、誤解や誤認、考え方の違いは生じる。しかし、ひとりの人間としては同じようなことに悩み、つまずき、喜び、生きている。連載ではそうしたエピソードをできるだけ紹介してきた。

 拙記事のコメント欄で、「中国人は悪くなくても中国の政治体制に問題があるからいけないのだ」というご指摘をしばしば受ける。だが、そうした政治体制の影響を受けてもなお、両国民が同じように喜びや悲しみを受け止めているという点にこそ、私は興味を覚えている。

 そんなことは、考えてみればごく当たり前のことなのだが、それすら気づきにくくなっているのが両国を取り巻く厳しい現状だと思う。政治体制では変わらない、変わりにくい、市井の人間としての共通点に気づくことが、「中国人は我々と違う。理解には至れない(そしてそれは我々のせいではない)」といった、安易な思考停止に流されないアンカーになるのではないか。

上海の高校に突撃取材

 本題に戻ろう。

 特に若者に限ってみれば、日中でほとんど違いは感じられない。中国が改革・開放した1979年以降に都市部で生まれた世代は、物質的に恵まれて何不自由なく育ってきた。一方で、受験戦争にさらされ、親からのプレッシャーも大きい。いい大学に入るにはいい高校に入り、そのためには幼稚園から塾に通わせ…という過程も、日本と同じである。

 両国の教育界が置かれている現状にも、実は意外と類似点がある。日本でも少子化の中で大学が増加し、「全入」時代となっているが、中国も朱鎔基元首相の方針により、98年に約108万人だった大学入学予定者は、2012年には約700万人と膨れ上がり、大卒=エリートとは呼べなくなった。大学卒の貧困ホワイトカラーやニートが急増し、高卒との収入格差もなくなりつつある。

 さらには中国の中学や高校にも「モンスターペアレント」が増え、教師たちの中には悩んで鬱になる人もいるという話も耳にする。日本と類似しているというよりは、まるで中国の教育界が日本のあとを忠実に追いかけているかのようだ。

 日本の教育界同様、中国の教育界の現状も、業界関係者でなければ知る機会がない。私は多くの中国人大学生に取材してきたが、彼らがどのような中学・高校生活を送った結果、大学に入学し、そして現在があるのかについては考えたことがなかった。

 そこで、今回は上海の高校を訪問し、授業を見学させてもらうことにした。中国の若者層の高校時代は、はたして日本のそれと違うのだろうか、似ているだろうか? あらかじめ裏話を打ち明けておくと、最初は北京のとある有名進学校(一般高校)に取材を申し込んだのだが、「日中関係の悪化」を理由に断られてしまった。その後、日本語を第一外国語とする上海の高校に取材を依頼した。「日中関係がこんな時期だからこそ、現状を見てほしい」と取材を快諾していただいた。

 答えを先に言ってしまうと、まず、生徒自体には日本との共通点が多く見出せた。授業科目(つまり体制)は違っても、休み時間などに友人とはしゃぐ姿は日本の子どもと何ら変わらない。先生と一緒に中庭を歩いているときに出会った生徒が、私にため口をきき、「バイバイ~」と手を振るおどけた姿も。

 では、前置きが長くなったが、上海の高校探訪記ルポを始めよう。

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「「ゆとり教育」が日本のイノベーションのカギ?」の著者

中島 恵

中島 恵(なかじま・けい)

ジャーナリスト

1967年、山梨県生まれ。1990年、日刊工業新聞社に入社。退職後、香港中文大学に留学。1996年より、中国、台湾、香港、東南アジアのビジネス事情、社会事情などを執筆している。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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