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FRBは「緩和停止」ではなく「緩和微調整」へ

市場との対話に苦慮する中央銀行

2013年6月4日(火)

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 日本では長期金利が不安定化し、ドル円の100円割れが意識されて株価も1万3000円台まで逆戻りするなど、東京市場には甘利機長の「当機は間もなく乱気流を抜けます」とのアナウンスが虚しくこだまする。だが米国市場では「日本の現象は円安・株高のスピード調整」という局部的現象だとの見方が強く、米株はまだ地合いの強さは損なわれていない。

 筆者が仕事柄常に注目しているクレジット市場においても、ジャンク債市場ではさすがに平均利回り4%台という異様な水準は修正されてきたが、低格付け企業への融資意欲は旺盛で、いわゆる高利回りの「ローン・ファンド」にも個人資金が大量に流入している。欧州でもこれまでの南欧国債の投げ売りが嘘のように静まり返り、ギリシャ10年債の利回りは先月8%台にまで低下し、ポルトガルの10年債入札にも国外から旺盛な需要が寄せられるなど、昨年とはずいぶん様子が変わってきた。

 マクロな経済指標を見る限り、世界の実体経済が上向いているとは必ずしも言えないところがある。確かに米国では住宅市場が急回復して、一部にはバブル再燃とまで言われるような価格動向を示している地域があり、雇用も徐々にではあるが改善傾向が見えている。ただし製造業における設備投資意欲はいまだ低迷しており、海外からの需要見通しにも今一つ迫力がない。欧州経済の底打ちは来年以降にずれ込む可能性が高く、中国経済も明らかに減速し始めている。

 そんな中でのリスク資産市場への資金流入は、長期化する金融緩和の下での「流動性相場」であると言われている。つまり金融市場は過去に例がないような「実体経済からのデカップリング」状況にあるが、もう一歩その論理を進めて言えば、投資家の「現金離れ」つまり「現金売り」としての他資産への逃避と解釈しても良いだろう。それは先進国の金融当局が、量的緩和によって積極的に自国通貨価値を切り下げているからに他ならない。

9月か12月には縮小方向を具体化する見方も

 だが米国市場では、景気回復感から米連邦準備理事会(FRB)がついに量的緩和の出口に向けて舵を切り始めた、という見方が広がってきた。それが長期金利の上昇につながっている。実際に、米国の大学基金など機関投資家の「米国債離れ」のペースは顕著である。FRBが政策転換すれば、株式などリスク資産にも大きな転換点が到来するかもしれない。先月下旬からの日本株の急落は、主に日本固有の問題(上昇スピード調整や国債市場の流動性枯渇など)から発生したものではあるが、これを世界の市場変化の予兆として捉える向きもある。

 FRBが毎月850億ドルの資産を購入するQE3の見直しを始めたのは、最近のことではない。本コラムでも、3月にFRB内部で緩和の軌道修正議論が開始されている点について触れておいた(「量的緩和コストの計算を始めた米国」)。だが、春以降のタカ派地区連銀総裁の発言や、バーナンキ議長自らが先月の議会証言の質疑応答の場において路線修正の可能性に言及したことで、市場に「6月18~19日開催のFOMCで緩和縮小も」といった声が一気に湧き上がってきた。

 6月にいきなり政策変更が決定される可能性は低いだろうが、9月の連邦公開市場委員会(FOMC)で買い入れ額が縮小されるとの見方は増えており、9月でなくても12月には縮小方向を具体化するかもしれない。だが、一方ではなかなか縮小に踏み切れない事情もある。筆者は、緩和の縮小開始が来年以降にずれ込む可能性もまだある、と感じている。

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「FRBは「緩和停止」ではなく「緩和微調整」へ」の著者

倉都 康行

倉都 康行(くらつ・やすゆき)

RPテック代表

1979年東京大学経済学部卒業後、東京銀行入行。東京、香港、ロンドンに勤務。バンカース・トラスト、チェース・マンハッタン銀行のマネージングディレクターを経て2001年RPテック株式会社を設立、代表取締役。立教大学経済学部兼任講師。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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