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自国通貨が安くなって良いことは1つもない

円安が企業にもたらす真の影響(第1回)

2013年6月7日(金)

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 企業のビジネスを巡って日々流れるニュースの中には、今後の企業経営を一変させる大きな潮流が潜んでいる。その可能性を秘めた時事的な話題を毎月1つテーマとして取り上げ、国内有数のビジネススクールの看板教授たちが読み解き、新たなビジネス潮流を導き出していく。

 今月のテーマは、安倍晋三政権が推進する経済政策「アベノミクス」によって急激に進んだ円安。企業の輸出が回復し、業績の回復や雇用の拡大につながるといった理由から、円安を歓迎する声も多いが、果たして本当にそうなのか。円安が国内企業にもたらす真の影響について、国内ビジネススクールの教壇に立つ4人の論客たちに持論を披露してもらう。

 最初に登場するのは、慶應義塾大学大学院経営管理研究学科(慶應義塾大学ビジネススクール)の小幡績・准教授。同氏の独自の見方を2回にわたって紹介する。

(構成は小林 佳代=ライター/エディター)

 「アベノミクス」の影響で、円安が進んでいます。日本国内では円安を歓迎する声も聞こえてきますが、円安は日本経済や日本企業にとって本当に良いことなのでしょうか。私は、歓迎論の多くは誤解に基づいたものだと思います。1つひとつ説明していきましょう。

 経済学には「交易条件」という概念があります。交易条件とは国際貿易における商品の交換比率のこと。輸出品1単位と交換に入手できる輸入品の数量がどれくらいあるかを示します。為替レートは交易条件の変動と密接な関係があります。自国の通貨が安くなると、同じお金で買える輸入品の数量が減ります。つまり円安とは、交易条件が悪化することにほかなりません。国全体として見た時には明らかに不利です。

 通貨とは、一言で言うならば「国力」です。通貨が安くなることは経済的な国力が弱くなることと同じです。本来であれば、円安と円高のどちらの方が日本にとって良いのかという問いの答えは明らかで、議論の余地はありません。

 では、なぜ日本は円安を喜ぶ傾向があるのかというと、様々な誤解が浸透しているからです。最大の誤解が「日本経済は輸出に依存している」「日本は貿易立国である」というものです。実は、過去のどの時期を見ても、日本経済が輸出に依存していたことはありません。常に内需が中心で、輸出は補助的な役割です。ほとんどの経済学者が「日本経済は輸出依存型ではない」と言っています。

 例えば戦後の高度経済成長期。日本は輸出ではなく、内需主導で成長しました。「海外の高いモノを買う代わりに、国内で代替のモノをつくり、輸出できるようにする」ことが、戦後、日本の目標となっていたのは確かですが、輸出によって経済が回復したたわけではありません。

 目標に向かって努力した結果、日本企業は海外と同じようなモノを作れるようになり、それが内需を喚起して経済成長の要因となりました。そもそも、高度成長を遂げた国のほとんどは内需が中心で、まさに教科書通り、日本も内需中心で高度成長を達成しました。

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「自国通貨が安くなって良いことは1つもない」の著者

小幡 績

小幡 績(おばた・せき)

慶応義塾大学ビジネス・スクール准教授

1967年生まれ。92年3月東京大学経済学部卒業、同年4月、大蔵省(現財務省)入省、99年退職。99~2001年ハーバード大学。2001年ハーバード大学にて経済学博士を取得。2003年から慶応義塾大学ビジネス・スクール准教授。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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