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児ポ法改正案についての諦念

2013年6月6日(木)

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 今回は煮え切らないことを書く。

 いや、結論が煮え切らないというわけではない。
 態度表明は、はっきりしているし、そこに迷いはない。

 しかし、そこへいきつくまでの、考えを整理している課程での度重なる逡巡が、我ながらひじょうに面倒くさい。考えるたび、果たしてどっちが正しいのだろうと悩んだり、いまだに判断のつかないことがたくさんある。

 そういう自分の気持ちを正直に書くと、規制派どころか規制反対派の人たちの賛同もなかなか得づらいだろう、ということが想像でき、それも暗澹たる気持ちになる。

 ましてや世の中の、善意や良識や正義感からこの法案に賛成しよう推進しようと考えている人たちに、理解や納得をしてもらえるかどうかという可能性を考えると、私はほとんどあきらめに近い気持ちを抱かざるをえない。

 それはもはや残念とか忸怩とか、徒労感とかいう言葉を通り越して、ひたすらトラルファマドール人の諦念に近い。

 ここまで書けば読者諸氏には察しがついていると思うが、今回は要するに児ポ法改正案の話だ。

 「世の中にはいっていいことと、いってもしかたのないことがある」
 という名言を残したのは、確か翻訳家、SF作家の鏡明氏だったと思う。

 元は「(自分が面白いと思うSFを人に何冊か黙って読ませてみて、もしそいつが自発的に面白いと思わなかったとしたら)どんなに根気よくていねいな説明を尽くしたとしても、その人はSFの面白さを理解する可能性は、まずない」というような話だったはずだ。

 付け加えるまでもないが、これはSFを理解する人のほうが頭がいいとか正しいとか上だとかいう話ではない。両者は上も下もいいも悪いもなく、並列……どころか、SFを面白いと思うなんて、そういう人たちのほうが頭がおかしい可能性だって大いにある。私も疑われているし、自分でも疑っている。

 ただひたすら「しかたがない」という話なのだ。

 SFの部分は、個人的には「ある種のギャグマンガ」と入れ替えてもいい気がするが、脱線が長くなったり愚痴っぽくなるので、やめる。

 おっと、児ポ法改正を「しかたがない」と思っているのでもなければ、改正反対の意見表明を「効力がない」と思っているのでもない。むしろ逆だ。

 既に社団法人日本漫画家協会日本マンガ学会日本アニメーター・演出協会(PDF)、日本雑誌協会日本書籍出版協会(PDF)、全国同人誌即売会連絡会コミックマーケット準備会等の団体が、この件には反対声明を出していて、私としてはこれらに賛成で、あらたに付け加える言葉を持たない。ここまで、この案件にあまり興味を持たなかった方も、何が問題なのか、ぜひリンク先の抗議文を読んだいただきたい、と思う。

 「煮え切らない」理由は別にもあって、ひじょうにあけすけにいってしまえば、私は今回のこの原稿を「いやいや」書いている。

 私は(文章原稿を書く機会を少々多めに与えられているがゆえ)政治的発言を、このような場所で書くことを好まない。「森羅万象あらゆることはマンガのネタ」と思っているからだ。マンガ家ならば、自分の考えや葛藤は、文字原稿でなくマンガ作品で表現したい。できればギャグに昇華させたい。

 だいたい表現規制問題は『DAI-HONYA』という、もう20年以上も前のギャグ作品で描いたつもりなので、本当はそっちのほうを読んでほしいのだった(ちなみに続編の『ラスト・ブックマン』では、電子書籍の普及による出版業界・書店業界の衰退を描いているので、この2冊こそ2013年の今売らずしてどうする! と珍しくも「!」付きで主張するものであるが、あまりいうとセリフが流行りすぎて本末転倒になっている予備校講師みたいなので、これもやめる)。

 どうも今回はひがみっぽい。
 たぶんマンガ表現に関する話だからだ。

コメント14件コメント/レビュー

コンビニのあれは、あれでもゾーニングしているのですけど。(2013/06/06)

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「児ポ法改正案についての諦念」の著者

とり・みき

とり・みき(とりみき)

マンガ家

熊本県出身。ギャグマンガをメインにしながら、エッセイコミックやストーリー物も手がける。94年『DAI-HONYA』98年『SF大将』で星雲賞、95年『遠くへいきたい』で文春漫画賞を受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

コンビニのあれは、あれでもゾーニングしているのですけど。(2013/06/06)

誰しも、親父のエロ意識・行為抜きでは生まれることさえなかったのだ(2013/06/06)

ポルノの内容を規制する前に、販売方法をどうにかして欲しい。コンビニで一般誌の横に、エロ表紙丸出して置いてあっては意味が無いと思います。「気持ちの悪いものは嫌いだといってもいいから、存在することは認めましょうと。」はごもっともです。気持ちの悪い(少なくとも)創作物を目にしない事を選択する権利というか自由も確保して欲しい。(2013/06/06)

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ジェニー・ダロック 米ピーター・F・ドラッカー伊藤雅俊経営大学院学長