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円安で輸出が増える? それは昔の教科書に書いてあったことです!

円安が企業にもたらす真の影響(第3回)

2013年6月14日(金)

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 企業のビジネスを巡って日々流れるニュースの中には、今後の企業経営を一変させる大きな潮流が潜んでいる。その可能性を秘めた時事的な話題を毎月1つテーマとして取り上げ、国内有数のビジネススクールの看板教授たちが読み解き、新たなビジネス潮流を導き出していく。

 今月のテーマは、安倍晋三政権が推進する経済政策「アベノミクス」によって急激に進んだ円安。企業の輸出が回復し、業績の回復や雇用の拡大につながるといった理由から、円安を歓迎する声も多いが、果たして本当にそうなのか。円安が国内企業にもたらす真の影響について、国内ビジネススクールの教壇に立つ4人の論客たちに持論を披露してもらう。

 今回は、早稲田大学大学院商学研究科(早稲田大学ビジネススクール)の岩村充教授が登場。円安がもたらす企業の好決算の中身には精査が必要と説く。

(構成は小林 佳代=ライター/エディター)

 為替レートには、時系列の中で徐々に変化していく「傾向」としての変動と、水準そのものが不連続にポンと変わる「ジャンプ」とがあります。今回、1ドルが80円を切るかどうかという為替レートの水準が、100円台まで2割以上も下がったのはジャンプに当たります。

 為替レートがこれだけ大きく変動すると、当然、企業の経営に影響が生じます。ステレオタイプな見方は、円安になれば輸出産業が復活する。企業の業績が改善して景気が良くなる。日本経済の押し上げにつながるというものですが、私は、現実をよく知っている企業の経営者たちは、それほど将来を甘く見ていないと思います。

 円安の影響を受けて、2013年3月期決算で増益を発表する企業が多かったのは確かです。でも、その中身には精査が必要です。

為替レートがもたらす変化の3つのポイント

 為替レートの変化が企業収益にもたらす変化には、3つのポイントがあります。第1に「在外資産の評価益」、第2に「海外事業利益」、第3に「輸出利益」です。1つずつ見ていきましょう。

 まず在外資産の評価益。日本のグローバル企業は海外に工場やオフィスの土地、建物、設備など、膨大な有形固定資産を持っています。調べてみると、自動車メーカーでは日本円にして2兆円を超える海外資産を、電機メーカーでも数千億円の海外資産を有しているところがあります。こうした海外資産のほとんどは現地法人が所有し、ドル建てになっているはずです。

 例えば1兆円分のドル建て資産を持っている場合、それが本社の保有資産であれば、そこに為替レートの変動が生じて日本円が20%減価すると、2000億円の評価益が生じます。この評価益は事業活動とは全く無関係に生じる利益です。その全部が直ちに今年度の決算に現れるとは限りませんが、それが現れるときには営業利益の後段階で足される特別利益などとして最終利益に影響することになるでしょう。もっとも、そうしたドル建て資産が、在外子会社の資産である場合には当期の利益には反映しません。いわゆる為替換算調整勘定として当期利益を通じないで連結ベースの自己資本をかさ上げするだけで終わるからです。

 為替のジャンプが起きた年には、このような資産の評価差損益が出ます。2012年度に最高益を更新した企業の中には、こういう事情が影響したところもあったのではないでしょうか。ただし、こうした在外資産の評価益が決算に影響するのは1回きりのことです。要するに宝くじに当たったようなもので、次年度以降の利益には影響しません。ですから、その前の年度との比較では今度は減益要因になってしまいます。

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「円安で輸出が増える? それは昔の教科書に書いてあったことです!」の著者

岩村 充

岩村 充(いわむら・みつる)

早稲田大学大学院商学研究科教授

1950年東京生まれ。東京大学経済学部卒業。日本銀行を経て98年より早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授。2007年、研究科統合により早稲田大学大学院商学研究科(早稲田大学ビジネスクール)教授。現在に至る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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