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私が「経営学は役に立ちます!」とドヤ顔で言えない理由

木と森のバランスに揺れる経営学の苦闘

2013年6月18日(火)

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 本稿では、米ビジネススクールで助教授を務める筆者が、海外の経営学の知見を紹介していきます。

 さて、私は昨年『世界の経営学者はいま何を考えているのか(以下、「世界の〜」)』という本を刊行したのですが、そこで予想外に反響があったのが「リソース・ベースト・ビュー(RBV)論争」についての章でした。

 経営学には、RBVという有名な理論があります。 米ハーバード大学のマイケル・ポーター教授が発展させた理論に次いでよく知られており、MBAの経営戦略論の教科書では間違いなく取り上げられる考えです。

 しかし実は「RBVは経営理論としての体をなしていない」という批判もあるのです。特に話題をよんだのが、2001年に米テキサス大学のリチャード・プリム教授と香港理工大学のジョン・バトラー教授が、現在米ユタ大学のスター教授であるジェイ・バーニー教授と『アカデミー・オブ・マネジメント・レビュー(AMR)』で対決した論争です。この論争でプリム教授とバトラー教授は、バーニーが1991年に発表した有名なRBVの論文を、複数の角度から批判しました。

 この論争で3人がもっとも意見を戦わせた点については、ぜひ拙著を読んで下さい。ここでは、その時のもう1つの論点で、そしてビジネスパーソンのみなさんにも示唆の大きい議論を紹介しましょう。

「価値のあるリソース」は何で決まるのか

 RBVとは企業の経営資源(リソース)に着目する理論です。 企業は製品・サービスを生み出すために、さまざまなリソースを持っています。たとえば人材や技術がそうですし、ブランドも重要なリソースです。1991年に発表した論文の中で、バーニー教授は企業リソースについて以下のような命題をたてました。

「命題:企業の経営資源に価値があり、希少なとき、その企業は競争優位を獲得できる」

 ここでいう「競争優位」とは、企業が長い間その業界で「勝ち続けられる能力」だと考えて下さい。「企業が優れた人材・技術など、価値があってしかも競合他社が持っていないようなリソースを持っていれば、その業界で長く勝ち続けられる」というわけです。

 有名なポーター教授の理論は、差別化戦略・低価格化戦略など「製品・サービス側」の議論をしています。いわば「表側」です。それに対してバーニー教授は、「裏側」の企業リソースもまた競争優位の源泉なのだ、と主張したのです。

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「私が「経営学は役に立ちます!」とドヤ顔で言えない理由」の著者

入山 章栄

入山 章栄(いりやま・あきえ)

早稲田大学ビジネススクール准教授

1996年慶応義塾大学経済学部卒業。98年同大学大学院経済学研究科修士課程修了。2008年、米ピッツバーグ大学経営大学院より博士号(Ph.D.)を取得、米ニューヨーク州立大学ビジネススクール助教授を経て現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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