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ボローニャの銀幕にジローラモは舞った

とり・みき、イタリアを往く

2013年6月27日(木)

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 京都から帰ってきたばかりだというのに、ボローニャへ行かねばならないのだった。

 あの、イタリアのボローニャだ。
 ボローニャきてても心は錦。

 本当は京都のあと、さらに修行を積むべく高野山に籠もった私であったが、それはまた別の機会に書くことがあるだろう。というわけで、今回のこの原稿はテキストもマンガも旅先のイタリアで書いて(&描いて)おります。はたして無事届くんでしょうか。

 とにかく、前回の原稿を書き終えた日本時間の6月18日の深夜、というか19日早朝、私はエミレーツの羽田発ドバイ行きに飛び乗った。眼が覚めると既にドバイ。砂漠には天空を貫くバベルの塔のごときタワービルがいくつも建ち並び、海にはミステリーサークルのような幾何学模様の人工の島が浮かんでいる。あきれるばかりの不自然さ。空飛ぶ円盤なんて信じてはいないが、あれらの建造物は彼らが造ったといわれても納得しそうな異常な風景だった。

 ドバイはもちろんトランジットのために降りたのである。黄金の椰子の木やら水タバコの器具やらヘリから降りてきた高須医院長やら巨大なラクダの置物をかいくぐってヴェネツィア行きに乗り換える。離陸し、シートベルト着用のサインが消えたとたん、斜め前では、イタリア人とおぼしき一人の男性が、4人分の座席に大量の枚数のレシートやら領収書を広げ、ノートパソコンで収支計算を始めた。

 結局、彼は機内食も断って、この計算を着陸まで6時間近くやり続けていた。

 かなり古いA330の機体は1時間遅れでヴェネツィア・マルコ・ポーロ空港に着陸した。ヴェネツィア本島は映画や旅番組でおなじみのああいう感じだが、対岸の空港の周りは川崎の工業地帯のような風情だった。ボローニャ大学から空港まで迎えに来てくれたフランチェスコ君(日本語が少ししゃべれる)は開口一番こういった。

「無事についてよかった。実は少し前に緊急着陸した旅客機のカーゴのドアが開いて中の荷物が滑走路に散乱したので、ここ2時間くらいにヴェネツィアに着陸する予定の飛行機は、みんなよその空港にまわされてしまったんです」
「そんないいかげんな事故は聞いたことがない。イタリアではよくあることなのか」
「イタリアでも珍しいですよ」
「エミレーツはなぜ着陸できたんだ」
「お金を持ってるからじゃないかな」

 こうして今回のイタリア旅行は、いきなりアクシデントで始まった。これから先も何が待ちかまえているかわからない。しかし、どうやら第一の難関は知らない間に突破していたらしい。

 とりあえず乗ったタクシーには、なぜか西新井大師の交通安全のお守りがぶら下がっていた。ステッカーもあちこちに貼ってある。おかげで、理由はよくわからないが、大師様のご加護によりヴェネツィア・メストレ駅までは安全にたどり着くことができた。

 これから我々は高速鉄道イタロでボローニャに向かうのである。

 イタリア各所では、有名なルッカのフェスティヴァルを筆頭として、近年、日本のマンガを中心にしたイベントがあちこちで行われるようになっている。去年は吾妻ひでおさんの代理として、シチリア島はカターニアのエトナ・コミックスに行った。

 今年はこともあろうに世界最古の学問所、ボローニャ大学からお声がかかったわけだが、ボローニャ大といえば、あのウンベルト・エーコ先生のいる大学、いよいよ日本マンガを記号論的に読み解くアカデミックな試みが始まるのか……と思いきや、実態は、まああちこちのボランティア・ベースのオタク・イベントとさほど変わらないのかもしれない。そのへんは、どんな催しかなのか、行ってみるまでは私の語学力ではさっぱりわからないのであった。

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「ボローニャの銀幕にジローラモは舞った」の著者

とり・みき

とり・みき(とりみき)

マンガ家

熊本県出身。ギャグマンガをメインにしながら、エッセイコミックやストーリー物も手がける。94年『DAI-HONYA』98年『SF大将』で星雲賞、95年『遠くへいきたい』で文春漫画賞を受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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松﨑 曉 良品計画社長