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従順なヘタくそより、タテつく上手いやつが好き

監督と選手による内紛の古今東西

2013年7月5日(金)

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 育った背景も人生観も違う人間が、たまたま同じ職場で上司と部下の関係になった。円満な人間関係ばかりが築かれるとは限らない。プライドが高い選手、コーチらが集うプロ野球界では、なおさらややこしい。見えないところで、監督と選手の間に摩擦が起きている。戦う集団の秩序が乱れぬようにするのは、敵を倒すより難しい。

 最近の例では福岡ソフトバンクの元三冠王、松中信彦による「セパ交流戦優勝セレモニー」のボイコットがある。

 6月13日のヤクルト戦後の表彰式に出ず、関係者の制止を振り切って帰宅した。勝負がほぼ決していた場面で代打に起用した秋山幸二監督の用兵に、あからさまに不満を示した行動だった。

 大リーガーは「オレを使う監督が名監督」と言ってはばからない。使わないならトレードに出せと、すぐに騒ぐ。

 日本でも出場機会に飢えている選手は、誰でもそう思っている。日本社会特有の「和」を重んじる空気の中で我慢しているだけだ。だが、松中のような39歳のベテランになると、新旧交代の波を肌で感じて焦る。それで大人げない行動に出てしまう。

 監督の秋山は「チームの和を乱した」と、松中の二軍落ちを即刻決めた。頭を冷やした松中は軽率な行動を謝罪した。

 反抗、二軍落ち、謝罪、罰金支払い…。「雨降って地固まる」へと進むのは、この種のトラブルでの典型的な収束パターンだ。ただ、秋山が毅然と振る舞うことができたのは、球団会長の王貞治の強力なバックアップがあるから。球団がスター選手を大事にするあまりに、曖昧な措置を取ると、問題はますますこじれる。

井端、駒田は新旧交代の流れにイラついた?

 5月半ばには、中日監督の高木守道と遊撃手・井端弘和が、守備を巡って口げんかをした。外野からの本塁返球でカットマンになった動きが適切ではなかったと高木が注意したのに、井端が反論したのだ。

 技術的な論争はよくあることだが、チーム状態が良くないと口調も荒くなる。

 高木は71歳の現役最高齢監督。2年契約が今年で切れる。井端は38歳のベテラン。「同じ負けるなら、若手を使え」と新旧交代を望む内外からの声にいら立っている。翌日、2人は何事も無かったかのように振る舞った。中日は最も“老化”が進んでいるチーム。似たトラブルがまた起きる恐れは十分にある。

 選手が監督にタテつくのは、打者なら代打と代えられる時、投手ならイニング途中で降板を命じられた時が圧倒的に多い。

 自由奔放なマシンガン打線の横浜(現横浜DeNA)でも騒動はあった。優勝した翌々年、2000年6月の広島戦(横浜スタジアム)。反撃機に交代を命じられた駒田徳広は、バットを叩きつけて試合中に帰宅した。

 父の日で息子、娘が観戦していた。それに、右投手の広島・ミンチーに対し、左打者の自分を下げて右打者の中根仁に代える必要があるのかと怒ったのだ。中根が控え外野手という「格」の違いも、駒田のプライドを傷つけた。

 だが、監督の権藤博は「監督には選手を動かす権利がある。私は選手の過去ではなく、今を見ている」と揺るがず、しっかりと罰金を取った。

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「従順なヘタくそより、タテつく上手いやつが好き」の著者

浜田 昭八

浜田 昭八(はまだ・しょうはち)

スポーツライター

アマからプロまで野球一筋半世紀という超ベテランのスポーツライター。現場取材にこだわり続けて、今日も記者席から白球を追う。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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中村 克己 元ルノー副社長、前カルソニックカンセイ会長