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「理容業」統計が示唆するアベノミクスの限界

「来店サイクル長期化」で人口減・少子高齢化対策が急務

2013年7月11日(木)

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 1994年の春に今の住所に引っ越してきてから、もう20年近く通い続けている理髪店がある(筆者は古い世代に属するので、最近の若者らのように美容院ではなく、理髪店に行っている)。仕事柄、慢性的に睡眠不足の筆者には、顔や肩のマッサージもある癒しの時間なので、思わず眠り込んでしまうこともある。そうでないときは、顔なじみの店主や従業員とよもやま話をすることが多い。

 そんな時に気づかされるのは、「その道のプロは、目の付けどころが一般の人とは違う」ということだ。その理髪店のご主人は、首相時代の小泉純一郎氏をテレビ映像で見た際、たまたまクローズアップされた手が実に入念に手入れされているのに感心したという。

 前首相の野田佳彦氏に対しては、首相になってもそれ以前と同じように料金1,000円の格安カット店に行ったことに、このご主人は真剣に怒っていた(理容業者の組合が本気で抗議したようで、野田氏はその後、値段の高い店にだんだん行くようになったらしい)。

 いつものように、この店で景気談義をしていたある日、「景気が悪くなるとお客さんが髪を切りに来るまでの間隔が長くなる」という話になった。この理髪店では顧客カードを作成し、パソコンで管理しているのだが、そうした傾向は明確だという。髪が伸びて気になってきても、しばらく我慢して過ごすのだろうか。景気が悪くなって家計が苦しくなると、男性のそうした支出にさえ、制約が加わるのかもしれない。

 そんな話を裏付ける経済統計がないか、探してみた。残念ながらそのものズバリの統計は見つからなかったが、理容業の業況を知る上で使える統計が2つあることが分かった。それらを以下にご紹介しよう。

(1)「第3次産業活動指数・理容業」

 経済産業省が発表している「第3次産業活動指数」の中の対個人サービス業の内訳の1つとして、「理容業」の季節調整済み指数が毎月作成されている(図1)。

 指数作成の元になっているデータは、家計調査の「理髪料」の金額である。これに推計世帯数を掛け合わせた数字(推計全国理髪金額)を、消費者物価指数の「理髪料」で実質化して、「理容業」の指数は作成されている。

図1:第3次産業活動指数 「理容業」
(出所)経済産業省

 「理容業」の2005年基準指数は、2008年にかけて緩やかな低下基調で推移した後、09年には急上昇し、9月に100を超えた(理由は不明。ちなみに09年の夏は猛暑ではなく、低めの気温で過ごしやすかった)。その後は再度、低下局面。11年1月にボトム(87.2)をつけて反転上昇したものの、12年から13年1~3月期にかけては緩やかな低下基調。そして、4月分は、原因は不明だが、水準を大きく切り下げた。7月10日に発表された5月分はリバウンドしたものの、いずれにせよ「アベノミクス」効果のようなものは、直近データであるこの5月分に至るまで、まったく感じられない。

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「「理容業」統計が示唆するアベノミクスの限界」の著者

上野 泰也

上野 泰也(うえの・やすなり)

みずほ証券チーフMエコノミスト

会計検査院、富士銀行(現みずほ銀行)、富士証券を経て、2000年10月からみずほ証券チーフマーケットエコノミスト。迅速で的確な経済・マーケットの分析・予測で、市場のプロから高い評価を得ている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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