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「技術が流出する」では勝ち目はない

研究開発のグローバル化(その2)

2013年7月18日(木)

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「宅急便」こそ戦後日本で最大のイノベーション

 日本の企業とイノベーションを考える際によく耳にするのが、「日本型イノベーション」や「日本的イノベーション」といった言葉です。イノベーションに日本型や、日本的など、あるのでしょうか。イノベーションは、単にイノベーションです。

 こうした言葉を好んで使う発想も、世界の様々な場で受け入れられない原因の1つになっていたり、さらには、日本からイノベーションが生まれない原因の1つになっているように感じます。

 現在、発明協会が「戦後日本のイノベーション100選」の選定を進めています。わたしはヤマト運輸の「宅急便」が、戦後の日本で最大のイノベーションではないかと考えています。

 宅急便のサービスは日本だけでなく、現在は欧州や中国など、世界の様々な地域に広がりつつあります。サービスを支えているのはIT(情報技術)で、コンピューターと通信を積極的に活用しています。最近では、配達中の荷物の状況をリアルタイムで把握することができます。こうした仕組みを基に、配達先の顧客が希望する時間帯に届けます。これは、日本人の生活を変えた、優れたイノベーションだと感じています。3.11の東日本大震災後の宅急便の活躍は忘れることができません。

 例えば、海外で同じように荷物を発送した場合、配達先の住宅にはいつ到着するのか分かりません。配達時間を指定できる宅急便が登場する以前の日本でも、同じでした。家庭など一般向けの荷物を取り扱ってくれる郵便小包の配達時間は分からず、配達先が不在だった場合には、駅などに受け取りに行く必要がありました。

 宅急便のサービス立ち上げ時、事業の許認可などで苦労し、一筋縄ではいかなかったことはよく知られています。当時のヤマト運輸の小倉昌男社長(故人)の熱心な取り組みが、日本人の生活を変えたのです。

ことづくり時代のイノベーションを評価しよう

 宅急便がオープンなイノベーションかと問われると、オープンではないかもしれません。しかし、画期的なイノベーションです。研究者や技術者が活躍するような、技術そのものではないかもしれませんが、ITを使い込んで、作り上げられた斬新な仕組みです。ものづくりだけでは通用しない、“ことづくり”が求められる今の時代だからこそ、もっと評価されてほしいイノベーションです。

 このほか、コンビニエンスストアなども、日本の誇るべきイノベーションだと感じます。元々、米国のセブンイレブンが始めていた業態ですが、これを日本に持ち込んで、仕組みを完全に作り替えました。そして業態は、物品の販売から銀行業務、税金の納付まで広がってきています。

 しかも、宅急便やコンビニエンスストアといったサービスを作り出したり、改良していくにあたって、男性だけの発想ではなく、女性の目線が多く入っている印象があります。そこも評価したい点です。

 米アップルの故スティーブ・ジョブズ氏が、自分で発明したものは一つもなくても、優れたイノベーターとされるように、宅急便なども発明ではないかもしれないけれど、イノベーションです。

 日本にもこのように優れたイノベーションがあるのですが、一般に紹介されるのは、サービスよりもほとんどが製造業に関係したものです。やはりものづくりというか、工場で作られるものに重きが置かれています。

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「田中芳夫の技術と経営の接点・視点」のバックナンバー

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「「技術が流出する」では勝ち目はない」の著者

田中 芳夫

田中 芳夫(たなか・よしお)

東京理科大学大学院教授

産ー官ー学での経験をもとに、これからの人たちと価値づくりを一緒に考えていきたい。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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