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ミラノで見つけた本物の「チョイ悪」

2013年7月11日(木)

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 というわけでイタリアマンガイベント紀行の3回目です。

 ボローニャ大学文学部主催のNIPPOPは、さすがに世界最古の大学のイベントということで、通常のジャパンフェスよりはアカデミックなメニューが多く、こちらも色々と刺激を受けた。

 だが、そういう場所でも、フェスを締めくくる最大のお楽しみ、メインイベントは、やはりコスプレショーなのだった。こちらのコスプレは、単にその格好をしたりポージングしたりするだけでなく、寸劇も交えた一大マスカレードの様相を呈している。

 日本のオタク文化の世界進出のようにいわれがちなコスプレだが、もともとはアメリカのSF大会で始まった遊びでありメニューだったはずだ。それを1970年代に日本のSF大会でもやるようになって、ルーツ的にはSF大会とも縁浅からぬコミックマーケットに移植されていき、現在のような形になっているわけだ。

 前2回では、我々日本人の過剰なイタリア信仰による「めったに存在しない、誤ったイタリア人のイメージ」について主に述べてきたわけだが、もちろんその逆もある。

 参加者のやや過剰な日本マンガファンは、日本の読者よりも数倍、コスプレやJ-POPに対する神格化や想い入れが強い。主催の文学部教授・パウラさんも、ボローニャの藤本由香里さんと呼ばれているだけあって(私とヤマザキマリさんが呼んでいるだけですが)やる気満々だ。我々にも強く審査参加をうながした。

 私はまだSF大会時代からの耐性があるが、皆さんよくご存じの通り、日本のマンガ関係者やマンガファンが、おしなべてコスプレ好きなわけではない。このへんは「イタリア人はみなサッカー好き」と似た、やはり一種の誤解に近いものがある。

 当方は、せっかくボローニャに来たというのに街をまだほとんどめぐっていない。斜塔も解剖学教室も見ていなければ、靴も買っていないし、ボローニャ料理もあまり食べていないので、ここは申し訳ないが審査を辞退して市内観光の時間を取った。

 たぶん、ピサの次くらいに有名な「ボローニャの斜塔」は確かに傾いていた。

 だが、この時点ではまだ気づかなかったが、帰国間際に立ち寄ったベネツィアで、イタリアの古い塔は、多かれ少なかれほとんど傾いている事実を私は発見した。はっきりいって程度の問題だけだ。むしろ、いまだにまっすぐ建っている塔こそ観光名所にすればいいのではなかろうか。

 ランブルスコでモルタデッラを試し、夜の10時をまわったころに会場に戻ると、参加者達は皆、その筋では有名らしいDJが回す大音響の昭和歌謡(「わたしの彼は左きき」など)で踊り狂っていた。お世話になった方々に別れを告げる。

 ボローニャにずいぶん字数を割いた。
 翌週のもうひとつのイベント、ミラノマンガフェスティバルについても語らなければならない。

 ミラノに入って思ったのは、やはり大都会だ、ということだ。

 大戦の爆撃被害が大きかったこともあり、ボローニャや、他の中世都市、あるいは首都ローマのような「街全体が遺跡」といった趣はない。観光名所のドゥオーモ(ミラノ大聖堂)、ガッレリア、スカラ座も、ほぼ中央の1箇所に固まっている。

 そして、さすがにファッションの街、タクシーの中からちょっと見ただけでも、道往く人は男性も女性も着こなしに気合いが入っているのがわかる。

 ここだったらLEONのようなチョイ悪オヤジがいてもおかしくないのではないか。

 と、一瞬思ったが、彼らのほとんどはビジネスマンであり、おしゃれといっても着崩した遊び人のような格好ではなく、夏でもスーツ着用のフォーマルな方向で、しかし、いいものを着ている、といった風情だ。ここでは確かにボローニャの学生のような短パン姿は見られない。そしてもちろんみんな靴下は履いている。

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「ミラノで見つけた本物の「チョイ悪」」の著者

とり・みき

とり・みき(とりみき)

マンガ家

熊本県出身。ギャグマンガをメインにしながら、エッセイコミックやストーリー物も手がける。94年『DAI-HONYA』98年『SF大将』で星雲賞、95年『遠くへいきたい』で文春漫画賞を受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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