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最近、ガチャガチャ回してますか?

愛嬌と品質で「大人買い」を誘発する奇譚クラブ

2013年7月17日(水)

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 JR恵比寿駅から徒歩15分。渋谷区の閑静な住宅街の一角に、遊び心あふれるカプセル玩具で大人たちを魅了する玩具メーカー、奇譚クラブ(東京都渋谷区、古屋大貴社長)の本社がある。6月上旬、特集「熱狂顧客の育て方」(日経ビジネス6月24日号)に向けた取材の一環で、同社を訪問する機会を得た。

 「奇譚クラブ」と言えば、三島由紀夫や渋澤龍彦らに賞賛され、「戦後最大の奇書」と呼ばれる沼正三氏の小説「家畜人ヤプー」などを連載したSM雑誌のタイトルだ。なにやら昭和の匂いと屈折したエロティシズムを漂わせる社名だが、いまどきの玩具メーカーにはあまり似つかわしくないように思える。

 マンガやゲームなどのサブカルチャーに疎い筆者は、実のところ「マニア」や「おたく」と呼ばれる人々の感性を理解するのがあまり得意ではない。ヒット商品を連発しているとはいうものの、奇譚クラブが特集の趣旨に合致する会社なのかどうかも、正直よく分かっていなかった。

 社名から推察する限り、かなり個性的な人物が経営している会社ではあるらしい。だとしたら、カプセル玩具を買ったこともない筆者とは、会話がかみ合わないんじゃないか――。いくつもの不安を抱えながらの訪問となったが、我々を出迎えてくれた古屋大貴社長はおしゃれな帽子に短パン、サンダルという出で立ちの、実に気さくな人物だった。

 紙幅に限りがあり、特集の中で奇譚クラブについて取り上げることはできなかったが、古屋社長の話はカプセル玩具への愛情だけにとどまらず、モノ作りの本質を突く内容だったため、このコラムを使って少し丁寧に紹介してみたい。

発売1年で170万個超を出荷

累計出荷個数170万超の大ヒットとなった「コップのフチ子」シリーズ(写真:山本琢磨、以下同)

 古屋社長は大手玩具メーカーで約10年間、新規事業の立ち上げやカプセル玩具の企画・営業などに携わった後、「とにかく自由な環境で面白いものが作りたい」という思いで、2006年に奇譚クラブを立ち上げた。従業員数は現在、13人。同社の名前を一躍有名にしたのが、マンガ家・タナカカツキ氏と共同開発し、2012年7月に発売したカプセル玩具「コップのフチ子」シリーズ(1個200円)だ。

 写真の通り、OL風の女性のフィギュアがコップの縁にぶら下がったり、よじ登ろうとしたりする姿には、誰しも思わずニヤリとさせられる。フィギュア単体だとあまり意味のあるポーズをしているように見えないのに、コップの縁に載せた途端、まるでこちらに話しかけているような表情を見せるのだから不思議だ。

 コップのフチ子は2012年7月の発売後、すぐにSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)上で大きな反響を呼ぶようになり、1週間で10万個以上を出荷。20万個売れれば成功と言われるカプセル玩具の市場で、今年7月までに累計出荷個数が170万を超える大ヒット商品になった。

スマートフォンを立てかけると、ネコが壁の倒壊を防いでいるように見えるフィギュア「ここは俺がくいとめる!お前は先に行くニャー!」

 古屋社長は「例えば意中の女性との会食の最中、相手がトイレに立った際に、飲みかけのグラスの縁にさりげなくフチ子を載せておけば、好感度アップは間違いない」と話す。最近は宴会を盛り上げる小道具として、フチ子シリーズなどを買い集める飲食店が増えているといい、子供向けと見られがちだったカプセル玩具の印象を大きく塗り替えるようにもなっている。

 奇譚クラブはフチ子シリーズのほか、哺乳類や鳥類、魚介類などの姿をリアルに再現した生物フィギュア「ネイチャーテクニカラー」シリーズなどでも根強いファンを抱える。植物のフィギュアであれば、根元に付着した土の色まで再現するという再現力に定評があり、こちらの累計出荷個数は1000万を突破している。

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「最近、ガチャガチャ回してますか?」の著者

白石 武志

白石 武志(しらいし・たけし)

日経ビジネス記者

日本経済新聞社編集局産業部(機械グループ)、京都支社、産業部(通信グループ、経営グループ)を経て、2011年から日経ビジネス編集部。現在は通信、半導体、家電業界などを担当する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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