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万能薬ではないビッグデータの“副作用”に注意せよ

経営学者が見る「ビッグデータ」の本質(第6回)

2013年7月30日(火)

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 企業のビジネスを巡って日々流れるニュースの中には、今後の企業経営を一変させる大きな潮流が潜んでいる。その可能性を秘めた時事的な話題を毎月1つテーマとして取り上げ、国内有数のビジネススクールの看板教授たちに読み解いていただき、新たなビジネス潮流を導き出してもらう。

 今月のテーマは、メディアなどで盛んに報じられるようになった「ビッグデータ」──。一般的な言葉として定着しつつあるビッグデータとはどのようなものなのか。企業のビジネスを大きく変える可能性があるとされるが、実際にはどのような効用があるのか。その本質について、国内ビジネススクールの教壇に立つ4人の論客がリレー形式で登場し、持論を披露する。

 最後の4人目として登壇するのは、慶応義塾大学大学院経営管理研究科の林高樹教授。統計学の専門家の立場から、ビッグデータの効用と限界、そして活用する側に求められるリテラシーについて語ってもらった。

(構成は秋山基=ライター)

 私は以前、銀行で新商品・技術の研究開発に携わっていました。そこで確率統計の面白さに目覚め、研究者の道に進みました。

 今、研究で触っているのは、金融証券取引の「高頻度データ」です。ミリ秒単位の時間刻みのデータを使って、市場の値動きやリスク量の変化、銘柄間の相関関係といったものを調べて評価しています。

 最近の市場では、コンピューターによって自動的に売買注文を行う「HFT(高頻度売買)」という手法が盛んになり、ヘッジファンドや専門の会社がこれを用いるようになっています。そのアプローチの1つに、インターネット上のツイッターでつぶやかれている言葉や、グーグルでよく検索されるキーワードを抽出したり、ヘッドライン・ニュースの内容をテキスト解析したりすることで、株価の動きを予測して自動的に売買注文を出すという手法があり、既に一部が実用化されていると聞きます。

 これはビッグデータを分析することによって利益を出そうとする取引であり、ビッグデータとは、単なるデータ自体ではなく、そのようなことを可能にするインフラ、つまりICT(情報通信技術)を含めて考察すべきテーマであろうと思います。

 20年ほど前、私は、5分間隔の日経平均株価半年分をデータ分析したことがあります。すると、米ハーバード大学の大学院生から「そのデータはどこで手に入れたのですか。もらえませんか」という問い合わせを受けました。当時は高頻度データの入手は難しかったのです。

 ところが、今ではすっかり様変わりしています。「3つのV」と言われるように、大量(Volume)で、多様(Variety)で、高頻度(Velocity)という、私たちの想像を超えるような形でデータが出回っています。

 しかも、そういったデータが、リアルタイムか、ほぼそれに近い形で処理できるようになり、以前では考えられなかったような使い方もされるようになりました。「ビッグデータ」なる言葉が生まれる前から「大規模な」データの統計分析を行ってきた私や周りの研究者も素直に驚いています。

コメント1件コメント/レビュー

ビッグデータの先進企業として有名なアマゾン。何年も前に1巻だけ買ったコミックや上巻だけ買った小説の作者の作品の推奨案内がずっと来ます。人間の判断が介在していれば、お試しに買ってみたけど気に入らなかったという推察はすぐにつくと思うのですが。買った商品によって他のメーカーのクーポンが出てくるイトーヨーカ堂。昔は食品の新商品で購買に結びついたこともあったけど、最近はヘアダイばかりで、これはたとえメーカーが同じでも使い方で商品の乗り換えは難しいのに分かってないなと思います。『ビッグデータの衝撃』なる本を読んで、期待もし、でも進んでいるのはアメリカ企業ばっかりと悔しい思いもしたのですが、実体験に即して見ると、どれだけ使い物になっているのかという疑問も強いです。(2013/07/30)

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「万能薬ではないビッグデータの“副作用”に注意せよ」の著者

林 高樹

林 高樹(はやし・たかき)

慶応義塾大学ビジネス・スクール教授

日本興業銀行(現・みずほフィナンシャルグループ)勤務後、米コロンビア大学統計学部助教授を経て慶應義塾大学大学院経営管理研究科准教授、2009年から現職。米シカゴ大学でPh.D.(統計学)を取得。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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ビッグデータの先進企業として有名なアマゾン。何年も前に1巻だけ買ったコミックや上巻だけ買った小説の作者の作品の推奨案内がずっと来ます。人間の判断が介在していれば、お試しに買ってみたけど気に入らなかったという推察はすぐにつくと思うのですが。買った商品によって他のメーカーのクーポンが出てくるイトーヨーカ堂。昔は食品の新商品で購買に結びついたこともあったけど、最近はヘアダイばかりで、これはたとえメーカーが同じでも使い方で商品の乗り換えは難しいのに分かってないなと思います。『ビッグデータの衝撃』なる本を読んで、期待もし、でも進んでいるのはアメリカ企業ばっかりと悔しい思いもしたのですが、実体験に即して見ると、どれだけ使い物になっているのかという疑問も強いです。(2013/07/30)

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三品 和広 神戸大学教授