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中国金融危機は1990年代の日本型に

地方財政バブルの終焉

2013年8月1日(木)

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 市場経済の世界には「維持不能」と言われながらも、維持され続けているものが幾つかある。膨らみ続ける日本の財政赤字はその筆頭格であろう。また欧州中銀によって何とか持ちこたえているユーロ、他に代替がないのでドルが準備通貨として利用され続けている国際金融体制なども、いわゆる「維持不能リスト」に挙げて良いだろう。

 だがこれらはすべて「長期的には」という前置きが付く維持不能性であり、向こう1年程度で崩壊する可能性は乏しい。それに比べると、最近急にメディアで目に付くようになった中国の高い経済成長率とその金融システムの「維持不能性」は、かなり切羽詰まった印象が強い。

 中でも、以前本コラムでも言及した同国の「シャドウ・バンキング」はいま世界中の話題になっており、IMF(国際通貨基金)のチーフエコノミストであるブランシャール氏が先般の会見において、世界経済の懸念材料の筆頭に中国リスクを挙げたことも注目されている(ちなみに2番目はアベノミクスで、3番目は米国の金融緩和縮小であった)。

停滞する「投資から消費へ」の構造転換

 中国への警戒感は、4~6月期のGDP(国内総生産)成長率が前年比7.5%へと減速したことで、さらに強まった感もある。その数字自体は市場予想とほぼ同じであり、特にサプライズをもたらすものではなかったが、輸出が大きく落ち込むなど、その内容はお世辞にも良いとは言えない。

 Capital Economicsの分析によれば、その内訳は5.9%が投資の牽引によるもので、消費の貢献度は2.3%にすぎない、という。ちなみに1~3月期における投資による成長率は2.3%で消費は4.3%であった。再び投資に依存するかのような経済像は「投資から消費へ」の構造転換が明らかに停滞していることを示している。

 市場には、先月の米中戦略・経済対話に参加した楼財政相が「今年の7%成長目標達成は可能だ」と述べたことで、中国政府が成長目標を7.5%から7.0%に下方修正したのでは、との憶測が飛び交う場面もあった。

 国営の新華社は「同氏の発言は誤りだった」と訂正報道しているが、一方で李首相は「今年の成長率が7%を下回ることは許されない」と述べたと報じられており、政府内でも7%という数値が強く意識されていることは間違いなさそうだ。

 もっとも中国経済社会の安定性を観察するにあたっての重要な数字は、信用度の低いGDPではなく雇用である。共産党独裁体制の維持はひとえに雇用状況に掛かっていると言ってよい。

 中国には先進国のように信頼できる雇用統計が無いが、輸出不振による製造業での雇用削減が大きな重石になっていることはまず確実だ。全般的に賃金上昇スピードも頭打ちの兆候が見えており、過去最大数の大学新卒者を迎えた雇用市場へのプレッシャーが今後さらに高まることは容易に想像し得る。

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「中国金融危機は1990年代の日本型に」の著者

倉都 康行

倉都 康行(くらつ・やすゆき)

RPテック代表

1979年東京大学経済学部卒業後、東京銀行入行。東京、香港、ロンドンに勤務。バンカース・トラスト、チェース・マンハッタン銀行のマネージングディレクターを経て2001年RPテック株式会社を設立、代表取締役。立教大学経済学部兼任講師。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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