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ねじれの解消は望ましいのか

アベノミクスの中間評価(その5)

2013年8月7日(水)

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 参議院選挙で「ねじれ状態」が解消した。しかし、ねじれは解消すればいいというものではない。ねじれ解消後にこそ大きな問題が控えているのだともいえる。

ねじれが解消したからこそ問われること

 参議院選挙における自民党のウリは「ねじれを解消して、決められる政治を」ということだった。では、ねじれ解消が望ましいかと言われると、私は「必ずしもそうではない」と思う。理由は二つある。ひとつは、「ねじれがないほうが良い」というロジックに疑問があることであり、もう一つは、「ねじれを解消して何をやるかの方がより重要」というものだ。

 まず「ねじれはないほうが良い」というロジックは成立するだろうか。これが正しいとすると、論理的には、政権交代を否定してしまうことになる。特殊な場合(衆参同日選挙で、多数派が同時に入れ替わる場合)を除けば、政権交代に際しては、必ずねじれ状態が起きる。ねじれはないほうが良いということは、「一旦衆参両院で多数派となった政党は、永遠にそのままが望ましい」ということになってしまう。したがって今後もねじれ状態は生じると覚悟しておいたほうがいいだろう。

 すると本当に必要なことは、今後ねじれ状態になっても、円滑な政策運営が可能となるような仕組みを構築しておくことである。具体的な問題としては、(1)参議院が事実上拒否権を持つ仕組みになっていること(法律の審議や同意人事など)、(2)慣行上、問責決議を使うことによって審議を拒否することができてしまうこと、(3)超党派の議論が行われにくいといったことがある。

 やや逆説的だが、ねじれが解消して、決められる政治が可能となった今こそ、ねじれ状態でも円滑な政策運営が可能となるように制度設計を見直しておくべきであろう。

ねじれ解消後に本当にやるべきこととは

 ねじれ解消は「政策をやりやすくなった」ということだけであり、より大きな問題は「どんな政策を推進するのか」ということだ。この点は、明らかに「日本経済のためになる政策なのだが、これまではねじれ状態だったのでできなかった政策を推進する」のが理想的だ。「やらないほうがいい政策を推進する」のであれば、ねじれなど解消しないほうが良かったということになる。

 私の考えるところ、推進すべき経済政策の方向としては次の三つが考えられる。

 第1は、財政再建であり、第2が社会保障改革である。両者は関連している。

 財政については、本連載でもさんざん議論してきたので、詳しくは繰り返さないが、日本の財政がかなり危機的な状況にあることは多くの人が指摘している。仮に、本当に日本の財政が破綻してしまったら、国民生活全体は、大変な悪影響を蒙ることになる。その程度は、「消費税で懐が痛む」どころの話ではない。

 するとどうしても歳入の増加を図るか、歳出を大幅にカットするしかない。歳入増となれば、さらに消費税率を引き上げるということになるが、増税だけでこれを実現しようとすると、消費税率は25%から30%になってしまうから、歳出カットが不可欠である。となると、毎年約1兆円ずつ自然増が見込まれる社会保障関係費に手をつけないとどうにもならない。その意味で、財政再建と社会保障制度の見直しはワンセットの問題である。

コメント2件コメント/レビュー

今は何したっていいんですよ。仮に自民党が暴走して利益誘導型政治したなら、次の総選挙では「歯止め役」にならなかった公明党は議席を一気に減らし、自民党も一気に票をへらす、それが小選挙区制の怖さだと言うのが分かったのですから。あと、これが地味に大事ですが官僚の権力の源泉は「安定した政権運営」にこそあり、政権党がコロコロ変わるようでは議員に阿って予算を獲得する事は不可能となります。つまり、「権力の分散としてのあるべき姿」へと回帰することを意味します。そういう意味ではまぁ「お手並み拝見」というところですね。(2013/08/07)

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「ねじれの解消は望ましいのか」の著者

小峰 隆夫

小峰 隆夫(こみね・たかお)

法政大学大学院政策創造研究科教授

日本経済研究センター理事・研究顧問。1947年生まれ。69年東京大学経済学部卒業、同年経済企画庁入庁。2003年から同大学に移り、08年4月から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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いただいたコメント

今は何したっていいんですよ。仮に自民党が暴走して利益誘導型政治したなら、次の総選挙では「歯止め役」にならなかった公明党は議席を一気に減らし、自民党も一気に票をへらす、それが小選挙区制の怖さだと言うのが分かったのですから。あと、これが地味に大事ですが官僚の権力の源泉は「安定した政権運営」にこそあり、政権党がコロコロ変わるようでは議員に阿って予算を獲得する事は不可能となります。つまり、「権力の分散としてのあるべき姿」へと回帰することを意味します。そういう意味ではまぁ「お手並み拝見」というところですね。(2013/08/07)

「ねじれ解消が全て良いわけではない」ことには異論はありません。一党独裁の第一歩かもしれません。ただ、「この期に及んでなお、『予定通り引き上げるべきだ』がこれほど少数派」なのは、私にとっては驚きではありません。「『年金を削ります』『支給開始年齢を引き上げます』『高齢者の医療費自己負担を増やします』などと提案したら、猛烈な反対の声が上がる」のは、そうしたことを決める人は「自分たちの懐を痛めない」「支出削減のための約束は守らずない」のが過去の経験上わかっているからです。「国民の皆さん、痛みを受けてください。その後、私たちも痛みを受けます」ではなく、「これほど私たちも見自ら痛みを受けています。だから国民の皆さんも少し痛みを分かち合ってください」という姿勢がなければダメです。(2013/08/07)

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