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中古車市場は、ブックオフに学べ

カーシェアリングなんてつまらない!

2013年8月8日(木)

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 筆者は最近、『風の谷のナウシカ』(コミック版)全7巻を「大人買い」した。

 講義で学生たちに「あの映画こそは世界に誇れる現代の日本人の自然哲学の象徴」などと高説を垂れたら、「いや先生、ナウシカは、コミック版の方が深いです」と返り討ちにあったため、慌てて購入した次第である。

 このような書籍の大人買いは、文字通り大人の嗜みである。『世界の歴史(全10巻)』とか『ローマ人の物語(全15巻)』など、自分の専門や仕事と関係のない本を、財力にモノを言わせてまとめて買う。なんという快感だろう。

 書籍はさらに、もう1つの快感を与えてくれる。そう、ちょっと賢くなった気分である。ポチッとクリックした瞬間に、すでに賢くなったような気になる。手元に届いた時点で、賢くなった感は頂点に達する…。しかし、その感覚は、読まずに積んである状態を見るたびに、じわじわと減っていく。やがて代わりに後悔の念が芽生えてくる。

 それでも、他人には「ああ、あれ。全巻持っていますよ(決して読みましたよ、ではない…)」と言える喜び。あれはなかなかのものだ。そして素晴らしい本と戯れる私も素晴らしい存在に思えてくるあの勘違い(笑)も人生における幸福のひとつではないか。

「そうだ、本は売ればいいんだ」

 しかし、そのうち限界が訪れる。保管場所の問題である。仕事の資料をどっさり入手した時や、別の知的財産を大人買いしたいという衝動に駆られたとき、ウチで積んだままになっている『世界美術大全集』や『宮本常一著作集』の存在が私を苦しめる。

 そのとき、賢くなって素晴らしいはずの私に名案が降ってくる。

「そうだ、売ればいいんだ」

 かくして私はいそいそと古書店へ大人買いした書籍を持ち込み、いくばくかの日本円に替える。買い取り値は買ったときよりはもちろん安いが、それでも、いくらかは回収できたという満足感が湧いてくる。やっぱり、私は賢かった――。

 これは、一時的にではあっても、本を所有していたことで生じる現象である。これらの本が図書館や他人から借りたものであっては、このような物語は生まれない。

 「所有からシェアへ」などと言っている輩はこのあたりの微妙な男心を理解していないと言わざるを得ない。

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「中古車市場は、ブックオフに学べ」の著者

上山 信一

上山 信一(うえやま・しんいち)

慶応義塾大学総合政策学部教授

1957年大阪市生まれ。京都大学法学部卒。米プリンストン大学公共経営学修士。旧運輸省、マッキンゼー(共同経営者)を経て現職。専門は経営戦略と行政改革。九州大学ビジネススクール客員教授。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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牛島 信 弁護士