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スティーブ・ジョブズの経営手法とは対極にある

2013年8月26日(月)

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 2011年10月にスティーブ・ジョブズが亡くなったとき、彼が仲間とともに創業し、長年にわたって繁栄とイノベーションの旗振り役となってきたアップルが成長力を維持できるのか、多くの評論家が疑問を呈した。

 癌を発症し、最高経営責任者(CEO)の立場を退いた後も、社内でのジョブズの影響力は絶大だった。アップルのイノベーション(パソコンからiPod、iPhone、iPadに至るまで)は、世界の通信や娯楽のあり方を根本から変えた。56歳での早すぎる死を受けて、アップルの未来は危ういというコメントが多く聞かれた。

 こうした議論に接して、僕はリーダーシップについて、そして偉大な企業を創る唯一の方法というものがあるのか、考えてみた。

 「この世で確かなものは死と税金だけだ」という。ならばビジネスの世界で唯一確実なのは、いつかはよからぬことが起こる、ということだ。運が良ければ絶体絶命のピンチにはならないかもしれないが、事業を立ち上げるときに最優先で取り組むべきことの一つは、緊急事態への備えだ。

 会社の状況に見合った災害復旧計画を立てておこう。サプライチェーンが途絶えたとか、ハリケーンが襲ってきた、もしくはその他の自然災害が迫っている、といった事態だ。本当に災害が起これば、だれもがあなたの意見を求めてくるのは間違いない。

鉄道の脱線事故で乗客が死亡

 2007年2月23日午後8時15分ごろ、ヴァージンは初めて本当の緊急事態に直面した。ヴァージン・レイルの運行していた「ペンドリーノ」と呼ばれる最新式の振り子式列車が、イングランド北西部で脱線したのだ。列車が路盤を滑り、盛り土にぶつかって停止するまでの間に、マーガレット・マッソンさんという高齢の乗客が車内で体を強打してしまった。

リチャード・ブランソン氏(写真:©Bloomberg via Getty Images)

 それまでの10年、グループのヴァージン・トレインズは数百万人もの乗客をイギリス全土へ安全に運んできた。ヴァージン・アトランティックも数千万人の乗客を、かすり傷一つ負わせず世界中へ送り届けてきた。だがあの晩を境に、ヴァージンの世界は永遠に変わってしまった。マーガレット・マッソンさんは亡くなった。ほかにも数人が重傷を負った。

 僕は家族でスイスのツァーマットでスキーをしていた。そこへ鉄道事故が起きたという一報がテキストメッセージで送られてきた。ヴァージン・トレインズのCEO、トニー・コリンズと話をすると、僕は車を手配して夜道をチューリッヒまで飛ばし、翌朝6時半の飛行機でイギリスに向かった。マンチェスターに着くと、BBCが車両は無傷で、多くの人命が救われたと報じていた。

 それを聞いて、少し気が楽になった。ヴァージンの車両はまさにこうした事態に備えて、戦車のように頑丈に設計していたのだ。その後の報道で、事故原因は線路にあるようだ、という情報が流れた(その後、事実であることが確認された)。24人が病院に運ばれた。ぼくはランカシャーのロイヤル・プレストン病院の霊安室で、マーガレット・マッソンさんの遺族と対面した。悲しみに打ちひしがれている彼らに、心からお悔やみを申し上げた。気がつくと、僕らは抱擁を交わしていた。

非常時の3つの心得

 間もなくテレビカメラと記者に囲まれ、質問攻めにあった。自分が泣き出すのではないかとびくびくした。実際危なかったが、なんとかこらえて、自分たちが知っていた事実をすべて話した。まだ当局の事故調査結果も出ておらず、お詫びとお礼以外にあまり言えるようなことはなかったのだが。

 僕は事故車両の運転手だったイアン・ブラックへの感謝を口にした。イアンは衝突の瞬間まで列車先端部分の運転手席にとどまり、乗客を救うためにできる限りのことをし、重傷を負った。ほかの乗務員も自らの傷を顧みず、乗客を安全な場所に避難させるなど模範的な行動を取った。

 なぜ僕らにこれほど迅速な対応ができたのか?

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「スティーブ・ジョブズの経営手法とは対極にある」の著者

ブランソン

ブランソン(りちゃーど・ぶらんそん)

ヴァージン・グループ会長

ヴァージン・グループ会長。1950年イギリス生まれ。72年ヴァージン・レコードを設立。84年ヴァージン・アトランティック航空を創業。その後、鉄道、金融、携帯電話、旅行、飲料、出版、宇宙旅行などに進出。(写真:©Bloomberg via Getty Images)

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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