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「深海」展でNHKの罠にはまりっぱなし!

2013年8月8日(木)

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 ときどき念を押すように書いているが、このコラムのタイトル「トリイカ!」は、イカとはまったく関係がない。

 古代ギリシア(住んでいたのは植民都市であるシチリアのシラクーザだが)の数学者・アルキメデスが風呂あがりに叫んだ、あの有名な言葉にちなんでいる。

 マンガ家はせいぜい「風呂あがり寿」とダジャレをつぶやいてうざがられるのが関の山だが、さすがに世界的数学者は歴史に残る言葉を叫ぶのだ。フリチンではあったが。

 とはいえ、その言葉は20世紀になって日本の雑誌名にもなり、本来、詩の雑誌であったはずのその月刊誌は、いまや、しょっちゅうマンガのこむずかしい特集ばかりしている。
 勝ったのはマンガ家だ。

 そんなことはどうでもよろしい。
 イカのコラムと思われているのは、こちらにも責任がある。
 おかげさまで連載も30回を超えたところだが、その第1回はイカの話でスタートしたからだ。まるでわざとミスリードしたみたいだが、これは偶然だった。

 連載1回目は、今年の初めにNHKとディスカバリーチャンネルのチームが撮影に成功したダイオウイカの映像について書いたのだった。

 これはしかし世紀の撮影といってよく、私自身も大いに興奮した。
 しかしどこよりも興奮しているように見えたのはNHKの人達だった。

 以後、NHKのイカ押しは半年を過ぎてもとどまるところを知らない。
 イカつながりでしばしばこのコラムでも言及しているが、つまるところ、そのこと自体が既にまんまと敵の思惑に乗せられているといっていい。今回もそうだ。

 もちろん、深海方面の取材や映像撮影は、何年もかけて地道に行われてきたものであり、一朝一夕にして為されたものではない。スタッフの根気には敬意を捧げる。そこはさすが天下のNHK、だ。

 だが、ダイオウイカの出現という僥倖は、この深海路線を推し進めるのに強力な起爆剤となったことは確かだろう。「イカ様様」な感じは否めない。いまやダイオウイカはドーモくんよりもNHKの顔になりつつある。

 深海の映像は、夏休みのBGVとしてもピッタリなので、NHKではイカの次にはサメ、とばかり二夜連続で深海の巨大生物特集をOAしていた。「おはよう日本」では映画界一の深海男、ジェームズ・キャメロンのインタビューも流れていたので、これも近々登場があるのだろう。

 その特集だが、イカをおびき寄せる球体の名称が「電子クラゲ」なのには笑った。これは「でんきくらげ」とその暗喩を知らないとおかしくもなんともないだろうが。

 鯛はエビで釣り、ダイオウイカは同じイカで釣ったのであったが、深海ザメは冷凍クジラで釣っていた。伊豆沖は深海ザメの宝庫だそうで、目が虚ろで可愛いオンデンザメから凶悪な顎を持つミツクリザメ、そして伝説のメガマウスまで、こちらもレア映像が満載だった。

 そして、国立科学博物館では、連動してその名も「深海」と題された特別展が始まった。これは、乗せられついでに見ずばなるまい、と、マンガ家は上野に向かった。

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「「深海」展でNHKの罠にはまりっぱなし!」の著者

とり・みき

とり・みき(とりみき)

マンガ家

熊本県出身。ギャグマンガをメインにしながら、エッセイコミックやストーリー物も手がける。94年『DAI-HONYA』98年『SF大将』で星雲賞、95年『遠くへいきたい』で文春漫画賞を受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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