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福島第一原発を、観光地にしてはいけないのか?

世界のステレオタイプを打破するための、被災地の「観光地化」

2013年8月21日(水)

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 7月の下旬、毎年恒例となっているフジロック・フェスティバルに参加していた私は、フェスティバル最大のステージ後方にある芝生で、ある本を読みふけっていた。その本を夢中で読むあまり、今年のフジロックのベスト・アクトの一つと賞賛されたMumford & Sonsのステージを間近で見る機会を逃がすという失態を犯してしまうほどだった。

 読みふけっていた本は、『チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド』。人類史上最大の原発事故であるチェルノブイリ原発事故から27年が経ち、観光地となっている現地を訪れた東浩紀氏、開沼博氏、津田大介氏らによる現地リポートと、写真家・新津保建秀氏の美しくも緊張感あるグラビアからなるガイドブックだ。なお、ダークツーリズムとは、歴史的な悲劇があった場所を訪れることにより、死者を悼み、学習する観光のことだ。

 この本の編著者である、哲学者の東浩紀氏に話を伺った。思想は行動と一致させるもの、経験から生み出し伝播させるものと信じている、とても自分に正直で(だからTwitterではよく炎上する)、かつリアリストといえるような人物だった。

 彼の構想する東京電力福島第一原子力発電所の観光地化計画を中心に、福島についていま本当にやるべきことは何かということを考えてみたい。

福島第一原発を観光地化する?

 この『チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド』は、東浩紀氏が発起人となっている「福島第一原発観光地化計画」の前置きとしての役割を果たしている本でもある。

 福島第一原発を観光地にするという計画を初めて耳にした時には、悪い冗談か何かではないかと思った。まだ収束するかすら分かっておらず、故郷に一生帰れないかもしれない人々が数万人を超える現状において、そんなことが許されるのかと。

 確かに、原発付近に博物館を建て、その他観光資源をつくり、専門家だけでない多くの人が現地を訪れるようになれば、それは人類の財産としては貴重なものになるのだろう。しかし、そういった観光地化を苦痛と感じる人々が少数でもいるとしたら、多数派の利益のために少数派の利益が侵害されることが許されるのだろうかと、私は考えていた。

 しかし、この本を読み、私の「福島第一原発観光地化計画」に対する見方は大分変わることになった。『チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド』は、チェルノブイリ原発で今も働く人々、立ち入り禁止区域内に戻って生活をする老人たち、観光地と化した現地を訪れる人々、それを案内する人々のリアルが描かれている。賛成と反対が真っ二つに分かれて論争が起こる分野では、厳然たる事実を目の前に提示することが最も強力な議論であることが多いが、この本はまさにそういった本だ。

 事実を突きつけ、人々にトコトン現実を見据えた思考をすることを迫る力が、この本にはある。

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「福島第一原発を、観光地にしてはいけないのか?」の著者

慎 泰俊

慎 泰俊(しん・てじゅん)

投資プロフェッショナル

東京生まれ東京育ち。朝鮮大学校政治経済学部法律学科卒、早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。モルガン・スタンレー・キャピタルを経て現在はバイアウトファンドの投資プロフェッショナルとして働く。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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