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稲盛和夫の「業」

彼を駆り立てるものとは何か

2013年8月22日(木)

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 起業家として経営者として、稲盛和夫を駆り立てているものは何だろうか。成功した創業経営者は莫大な資産を形成するが、おカネはモチベーションを持続的に高める力にはあまりならない。

 米国の経営者には、日本の経営者とはケタ違いの報酬を得る人もいる。もちろんおカネの魅力は絶大だが、稲盛の場合は違うだろう。なぜなら創業した京セラを優良企業に仕立てたところで、早々と経済的には満たされているはずだからだ。

 わざわざ第二電電(現KDDI)を設立するまでもない。まして78歳で日本航空(JAL)の再建に乗り出す必要はない。しかも無給である。会社更生法の下で、資本増強をするためにJALが実施した第三者割当増資の一部を、京セラが引き受けたことを批判する見方もある。

 JALが再建を果たし再上場したので京セラは含み益を得て、京セラの株を持つ稲盛にも間接的にプラスになったというのだろう。しかし、もしJALが2次破たんしたら、京セラに損をさせたと稲盛は非難されたかもしれない。

 リクルートの創業者、江副浩正が子会社のリクルートコスモスを上場させる時、同社の未公開株を政財界の有力者に譲渡し、一部が贈賄だったとして罪に問われた。個人で引き受けた経営者の中には、違法ではなかったが道義的責任を責められて経済団体の役職を辞任した人もいた。

 稲盛も江副と多少の付き合いがあって、リクルートコスモスの未公開株の譲渡を持ちかけられた。だが個人では取得せず、京セラが引き受けた。おカネの扱いに稲盛は潔癖である。それどころか、個人財産の増加を重荷のように感じているような節がある。

「これはなんとしなくてはいかん。早く寄付したい」

 親から相続した土地が値上がりして巨額の不労所得を得たわけではない。自分の才覚と努力で京セラを発展させた結果だから、誇ってよい。パナソニックの創業者、松下幸之助は昔、国税庁発表の所得番付でトップを占めることを誇りにしていたそうである。たくさん稼いで多額の税金を納めた証しだからだ。

 1982年4月、京セラの持ち株160万株と現金45億円を寄付して稲盛財団を設立し、科学、文化の分野で貢献した人を顕彰する京都賞を設けた。当時、京セラの160万株は約200億円に相当した。52歳の時である。財団をつくった理由がいかにも稲盛らしい。

 「京セラをつくったのはカネ儲けのためではないと自分に言い聞かせてやってきたんです」。当初は倒産の不安にかられたものの、結果的に望外の資産ができた。「いつの間にかそうなってしまった。そういうものを追い求めてきたのではないのに。これはなんとしなくてはいかん。早く寄付したいと思ったわけです」。

 しかし「もっと年がいってからで、よいのではという考えも一方ではありました。相談すると、皆さんからもそう言われました」。「でも老人になったら、欲ボケになり考え方が変わるかもしれない。若いころは、堂々と正義を説いていた人が年をとって、変わるのをよく見ました。いろいろ執着が出たり、未練が出たりするのは、私も同じ人種なのだと、自分に言い聞かせて財団を早くつくったのです」。

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「稲盛和夫の「業」」の著者

森 一夫

森 一夫(もり・かずお)

ジャーナリスト

1950年東京都生まれ。72年早稲田大学政経学部卒。日本経済新聞社入社、産業部、日経BP社日経ビジネス副編集長、編集委員兼論説委員、コロンビア大学東アジア研究所、特別編集委員兼論説委員を歴任。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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