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“チリコンバレー”の損得勘定

4万ドル渡してまで外国人起業家を呼び寄せる理由

2013年8月22日(木)

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 「アベノミクス以降、政府や自治体関係者の訪問が増えましたね」

 シリコンバレーで働く日本人の知り合い数人からこんな話を聞いた。次々にイノベーションを生むシリコンバレーの秘密を探ろうと、関連団体を含めた各省庁の担当者や地方自治体が視察に訪れているという。起業家育成を重要政策の1つに挙げている安倍晋三政権の政策を見越した動きのようだ。

 「また役人の物見遊山ですよ」。知人の中にはこういった反応を示す人もいるが、日本にとって起業家育成が必要であることには誰もが同意するだろう。

 失敗続きだった「ベンチャー企業育成」をどう軌道に乗せるのか。それには制度や仕組みも重要だが、強烈な起業家精神に触れる場を作ることも忘れてはならないのではないか。「シリコンバレー詣で」の話を聞いて思い出したのは、「日経ビジネス」7月8日号特集で紹介したチリの取り組みだった。誌幅の関係で当該記事では紹介できなかった内容を含め、あらためてお伝えしたいと思う。

“合格者”の8割が外国人の起業家育成プログラム

 「“チリコンバレー”に世界の起業家を招待」と題して取り上げたのは、チリ政府が2010年に始めた起業家育成プログラム「スタートアップチリ」だ。銅やワインなど有名な輸出品はあるが、将来の産業をどう生み出すかが長らくチリの課題だった。

 そこでビジネスアイデアのコンテストを実施し、審査に通過すれば、4万ドル(約390万円)の現金を支給するというプログラムを開始した。外国人には1年間の就労ビザも与えられる。ビザの発給を組み込んだのは、最初から海外の起業家を呼び込むことを狙っていたからだ。

 投資資金を含めてスタートアップ育成の制度を設けても、肝心のなり手が少なく環境が整わない。それがチリの悩みだった。そこで考えたのが起業家精神あふれる外国人を連れてくることだった。

「彼らの素晴らしいアイデアとチリの投資資金を結びつければいいと考えた」。プログラムを創設したニコラス・シー氏は振り返る。背景には、ビジネスアイデアがあるのにビザ制度の壁で米国で働けない優秀な人材を呼び込もうという魂胆もあった。

プログラムを創設したニコラス・シー氏は自身も起業家として活動中

 これまで7回のコンテストが実施した。応募は合計で約7200件。審査を通過したのは約700件で、そのうち外国からの割合は8割となる。“合格者”の国別割合は、米国(27%)、チリ(20%)、アルゼンチン(6%)、インド(4%)、カナダ(4%)、ブラジル(4%)、スペイン(3%)、ドイツ(3%)などと続く。

 4万ドルの現金を生活費に充て、1年間の就労ビザをもらった彼らはチリで起業を目指す。首都サンティアゴの市内であれば、日本でも広がっているコワーキングスペース(共有オフィス)を無料で使う権利が与えられるので、オフィスのコストはかからない。IT(情報技術)系の起業家向け、3Dプリンターなど製造業系の起業家向けなど、複数用意されている。スペイン語が公用語のチリだが、ここでは誰もが英語でコミュニケーションしている。

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「“チリコンバレー”の損得勘定」の著者

細田 孝宏

細田 孝宏(ほそだ・たかひろ)

日経ビジネス 副編集長

1995年早稲田大学卒業。日経BPに入社し、日経ビジネス編集に配属される。日経アーキテクチュア編集、日経ビジネス・ニューヨーク支局長などを経て現職

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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