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こどもたちは裸足で夏を駆ける

2013年8月22日(木)

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 子供のころ、8月というのは死のイメージに彩られていた。

 6日と9日は原爆投下の日であったし、偶然にも終戦の日(とされている、昭和天皇の玉音放送があった日)が、死者の霊を招き入れる旧盆の8月15日だった、ということが決定的に死を身近に感じさせた。

 私は詳しい経緯を知らないが、もしかしたら、連合国側ではポツダム宣言調印の9月2日を終戦の日としている国が多い中で、あえてこの日にしたのは、どこかで旧盆という古来からの死者の日の心理的影響もあったのではないか、とも思えてくる。玉音放送のインパクトは大きかったにしても、だ。

 私が育った山間部の田舎町では、お盆というのはやはりかなり重要な行事で、旧家の門口には提灯が飾られ、仏壇の前にはカラフルな回り灯籠が置かれ、夜ともなると綺麗だった。13日から16日頃までは家全体に線香の香りが漂っていた。

 それは死者と過ごす数日間のニギヤカシでもあった。

 盆の間は「地獄の釜のふたが開く」として、川での水泳などは戒められていた。夏休みには毎週のように町単位の小さなお祭(地蔵であったり水天宮であったり)があったが、8月15日の夜はクライマックスともいうべき大きな花火大会が催され、これが楽しみだった。江戸期に盛んになった花火大会には慰霊の意味もあったことを知るのは、後年のことだったが。

 私が小学2年のときが、ちょうど「戦後20年」にあたっていた。
 ひとつの節目として、テレビでも特集番組が多かった、と記憶する。

 だが、子供が感ずる時間感覚は、長い。
 実感として20年前というのは遠い遠い昔のことのように思えた。

 最近の時代に比定してみれば、いまから20年前の出来事としては、福岡ドームとレインボー・ブリッジが完成、Jリーグ開幕~ドーハの悲劇、皇太子ご成婚、「高校教師」「ジュラシックパーク」などがあり、十代、二十代の読者の方はともかく、既に半世紀以上を生きた我が身にとっては「ついこの間」という感覚だ。

 つまり当時の親達にとっては、戦争というのはまだまだ直近の出来事だったろう。

 そのころの少年誌においても「0戦はやと」「ゼロ戦レッド」「紫電改のタカ」(私の数年前のATOKでは、嘆かわしくもデフォルトで「紫電改」が変換されなかった)など、戦記マンガがまだ人気を博していた。プラモデルでも零戦と大和は二大人気商品だった。

 私はといえば、過去や、現代の学園生活や、スポーツを描いた作品にはあまり興味がなく、マンガやテレビや映画でも、もっぱらSF的要素の強い作品に惹かれ、その空想の中で遊んでいた。

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「こどもたちは裸足で夏を駆ける」の著者

とり・みき

とり・みき(とりみき)

マンガ家

熊本県出身。ギャグマンガをメインにしながら、エッセイコミックやストーリー物も手がける。94年『DAI-HONYA』98年『SF大将』で星雲賞、95年『遠くへいきたい』で文春漫画賞を受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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