• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

「家に包丁? ありませんよ」

「個食・時短」時代の調理に見えるもの

2013年8月26日(月)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 「君ねぇ、知ってるか。最近は包丁やまな板が家にないっていう人だって多いんだぞ」

 大手スーパー、マルエツの上田真社長と先日話していたら、そんなことを教えてくれた。最近、東京都内などの売り場を訪れると、やたらと目立つようになってきた「カット野菜」のコーナーについて、話が及んだ時のことだ。

 カット野菜とは、調理の際に細かく切らなくて済むように、あらかじめ適当な大きさに刻んでパックで売っている生鮮野菜のこと。忙しい共働き世帯や、調理が面倒な単身者の人気を集めているとされる。

 加工の手間がかかっている分、重量当たりの価格で比較すれば、そのままの生鮮野菜を購入するよりも断然割高だが、「丸ごと買っても使いきれない」ときがあることを考えると、表面的な価格差よりは経済的な負担感はないのかもしれない。

 そんなカット野菜が少なくとも都市部で売れているのは、売り場を見れば一目瞭然だ。

 農畜産業振興機構によると、カット野菜の市場規模は2011年に1900億円だった。セブン-イレブン・ジャパンでは「カット野菜は直近では前年の1.6倍くらいの売れ行きで推移している」(商品本部の石橋誠一郎執行役員)と言い、足元の市場はさらに拡大しているものと思われる。

 しかし、個人的には「包丁もまな板もない家」というのは想像しにくい。いかに調理をしない人とはいえ、何かのために持っておくものではないのか。

 興味を引かれたので、一応調べてみたが、「家に包丁やまな板がない家庭」がどの程度世の中にあるかという定量的な数値は見つからなかった。だが、周囲の人にそれとなく聞いて回ったら、本当にいた。

 私が、なんとなく「料理してなさそうな人」に多く声をかけたことは否めない。だが、こんなに簡単にみつかるとは思わなかった。

ヒットしたのは独身女性

 尋ねてみたのは10人にも満たない。そのうち、「包丁は持っていない。だからまな板もない」というアラサー女性が1人。「全く使わないが、この間たまたまもらったので包丁はある」という20代前半の女性が1人いた。ちなみに、どちらも独身だ。

 2人とも、食事はほぼ外食か、弁当や総菜といったいわゆる「中食」で済ませている。調理のための道具といえば炊飯器や電子レンジといった家電製品がメーンで、鍋やフライパンはあるが、あまり使わない。要するに、一般的な人がイメージするであろう「料理」という行為を2人はほぼしないのだ。

 無論、鍋やフライパンが家にあったとしても、料理をしないというのだからカット野菜だってこの2人はほぼ買わない。買うとすれば、コンビニやスーパーなどのサラダだろう。

 だが今後、2人が結婚し子供が生まれるなどしたら? 結婚相手や、仕事を続けるかどうかといったことにもよるだろうが、カット野菜を頻繁に購入するようになるのではないか。

 「包丁を持たない」というのは、ある意味で調理から距離を置く人の極端な姿だ。だがライフスタイルの変化とともに、「毎日3食分、食事を作る」という、調理に密着した生活をしている人が減っていることも確かだろう。食べることに対してどれだけ手間と時間をかけるかという価値観が多様になり、今、食材にもさまざまな変化が起きている。それを表すのは何もカット野菜だけではない。

コメント11

「記者の眼」のバックナンバー

一覧

「「家に包丁? ありませんよ」」の著者

中川 雅之

中川 雅之(なかがわ・まさゆき)

日本経済新聞記者

2006年日本経済新聞社に入社。「消費産業部」で流通・サービス業の取材に携わる。12年から日経BPの日経ビジネス編集部に出向。15年4月から日本経済新聞企業報道部。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

「絶対これしかありません」というプランが出てきたら、通しません。

鈴木 純 帝人社長