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部長級でも責任を取らされるサムスン

自らの意思とは無関係、強制的に去ることに

2013年9月5日(木)

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 8月22日に掲載した前回のコラム「サムスン移籍の理想と現実」は、当日のアクセスでトップとなり、筆者自身、大変驚いた。賛同や異論反論、批判など数多くのコメントをいただき、反響の大きさを実感した次第だ。筆者の意図がうまく伝わらなかったのか、誤解の多いコメントも散見されたが、今後もこうした忌憚のない意見をもらえれば幸いである。

 前回のコラムの冒頭で、日本の大手電機メーカー各社でリストラが相次いでいることに触れたが、韓国サムスングループでは日常茶飯事といった光景だ。若手社員から幹部社員に至るまで、会社を去る人間は後を絶たない。

 例えば若手社員の場合、グループ全体で大卒以上の新入社員数は毎年約1万に達するが、1年後にはその約10%が、3年後には約30%が去っていく。会社側が退社を命じているわけではない。最大の理由は、仕事がきつくて大変、あるいは社内の過酷な出世競争を目の当たりにし、自信を喪失することに端を発している。

 若手社員は自主的に退社するのがほとんど。だが、役員はもとより、開発責任者などの部長級でも退社が強制的になる場合がある。つまり、経営トップが役員や部長級の責任を追及し、本人が社内に留まれず退社していくわけだ。よく「事実は小説より奇なり」と言われるが正にその通りである。

 筆者自身、ホンダからサムスンSDIに移籍して以降、幹部社員が会社を去る姿を何度も目にしてきた。今回のコラムでは、サムスングループにおける責任の所在について議論してみたい。

後発なのに武器がない

 実際に部長級社員が会社を去る現場に遭遇したのは、2007年のこと。研究開発が急ピッチで進められていたシリコン結晶系の太陽電池の事業化の過程においてだ。既に、日本ではシャープや京セラ、旧三洋電機がシリコン結晶系の太陽電池事業でトップシェアを誇っており、サムスンSDIの立ち位置は周回遅れどころか十年以上もの遅れと言える状況だった。

 日本企業各社が太陽電池事業で成功をおさめていた背景には、日本政府に働きかけて補助金制度を作り上げてきたことが大きい。つまり、ビジネスモデルを構築しやすい環境だったわけだ。

 これに対し、韓国では日本のような家庭用太陽電池のビジネスモデルを実現するのが難しかった。理由は大きく2つある。

 まず1つが、電力料金が日本の約3分の1程度であり、太陽電池を家庭に導入してもユーザーメリットが得られないこと。もう1つが、全世帯の60%以上がアパート形式(日本のマンションに相当)のため、屋根面積の確保が困難であることだ。戸建住宅も存在するが、高級住宅地はソウル市内の限られた地区のみ。多くは田舎にあり、経済的な側面から太陽電池の導入は難しい。

 サムスンSDIが太陽電池事業で成功を収めるには、日本とは異なるビジネスモデルを構築する必要があり、メガソーラーなどの大規模発電施設にターゲットを絞り込んでいた。当時のサムスンSDI社長も事業化には前向きであり、プロジェクトリーダー(PL)を務めていた中央研究所の部長級の首席研究員からの報告会は頻繁に実施されていた。

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「部長級でも責任を取らされるサムスン」の著者

佐藤 登

佐藤 登(さとう・のぼる)

名古屋大学客員教授

1978年、本田技研工業に入社、車体の腐食防食技術の開発に従事。90年に本田技術研究所の基礎研究部門へ異動、電気自動車用の電池開発部門を築く。2004年、サムスンSDI常務に就任。2013年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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