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こんなに違った、国連・潘基文事務総長の「問題」発言報道

「見たいものを見る」私たちの、メディア・コミュニケーションのお作法

2013年9月4日(水)

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 観光などで外国の街中を歩いていると、ホテルで見るニュース番組だけでなく、街中で売られている新聞や雑誌にも目がいく。そして、「なるほど、これが今この国で最も語られていることなんだな」ということが見えてくる。

 ネットを開くと、Twitterでは、国連事務総長である潘基文(パン・ギムン)さんのことが話題になっていた。最初それを一瞥したときは、シリアへの介入に関連して、国連事務総長として何かコメントをしているのだろうという程度に考えていた。実際のところ、英語メディアをざっと見る限り、潘事務総長が掲載されているのはその話題に関するものがほとんどだったからだ。

 しかし、よく見てみるとどうやら違う。国連事務総長が韓国における記者会見で、安倍政権の憲法見直しについて批判をしているという。「国連事務総長が中立性を欠いた発言をするのは異例のこと」として、Twitterやその他ネットメディア上では、潘事務総長への批判が相次いだ。

 この報道があった時には海外にいたためか、やけに違和感を覚えた。確かに、東アジアの歴史認識をめぐる論争は、遠く離れた地に住む人からは「どうでもいいこと」と見なされがちで、そのネタが紙面を飾ることはあまりない(これは、国内における中東報道の量の少なさと同様のこと)。

 しかし、国連事務総長という立場にある人が、一国を批判するというのは、それが事実であればかなり大きな問題であり、報道がある程度されてしかるべきだった。少し以前に、日本の政治家の「失言」が相次いでいたが、そのときは海外の主要メディアでそのことが取り上げられていた。しかし、今回の関連報道をGoogle検索した英語ニュース結果はこちらで、国連事務総長の問題発言があったにしては、アジア以外の主要メディアではなぜか取り上げられていない。

 ソースが正確に表示されていないのでは?という疑問がよぎる。日本でも、いくつか同様の投稿があった。

 今回のケースは、いかに私たちが自分の見たいものしか見なくなりがちであるかについて貴重な示唆を与えてくれると思うので、少し書いてみよう。

実際の会見内容は、かなり穏当なものだった

 具体的に、潘基文事務総長の発言を翻訳すると次のようになる。可能な限り原文に忠実になるように努めた。なお、原文は固まりが大きいので、適宜改行している。原文については、次のリンクを参照いただきたい。

問:事務総長もよくご存じの通り、(アジアの)北東地域では、領土問題について現在緊張が高まっています。(これについて)最も緊急で必要とされているものは何とお考えでしょうか。現在における紛争の文脈と関連して(筆者注:会見では朝鮮半島情勢やシリア情勢について言及されていた)、ご意見をお伺いすることはできますか?

事務総長:北東アジアの3カ国、中国、日本および韓国は、アジア内のみでなく、国際社会における影響力、経済力、政治力において、それぞれが同様に重要な存在です。この北東アジア三カ国は、経済成長、科学技術の革新と開発という点においても、発展の中心にあると言えるでしょう。三国ともに、非常に重要な国なのです。

(次ページへ続く)

コメント58件コメント/レビュー

私は「日本の憲法改正が問題になっている、どう思うか」の質問に対して「日本の政治家は~」と、はっきりと相手に「内省と洞察」を求めている時点でアウトだと思います。確かに筆者のおっしゃるとおり、コメントの一部だけ切り抜いて恣意的に解釈している記事も多いですが、この件については明らかに国連総長が言ってはいけないことだと思います。ただ、「マスコミがそのように報道することがある」から、振り回されないようにしなければいけないという意味では、この記事は非常に考えさせられる、内容だったと思います。(2013/09/16)

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「こんなに違った、国連・潘基文事務総長の「問題」発言報道」の著者

慎 泰俊

慎 泰俊(しん・てじゅん)

投資プロフェッショナル

東京生まれ東京育ち。朝鮮大学校政治経済学部法律学科卒、早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。モルガン・スタンレー・キャピタルを経て現在はバイアウトファンドの投資プロフェッショナルとして働く。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

私は「日本の憲法改正が問題になっている、どう思うか」の質問に対して「日本の政治家は~」と、はっきりと相手に「内省と洞察」を求めている時点でアウトだと思います。確かに筆者のおっしゃるとおり、コメントの一部だけ切り抜いて恣意的に解釈している記事も多いですが、この件については明らかに国連総長が言ってはいけないことだと思います。ただ、「マスコミがそのように報道することがある」から、振り回されないようにしなければいけないという意味では、この記事は非常に考えさせられる、内容だったと思います。(2013/09/16)

「今回のケースは、いかに私たちが自分の見たいものしか見なくなりがちであるかについて貴重な示唆を与えてくれる…」「人間の頭は、物事を自分の都合のよいように判断し、解釈し、受け入れるようにできている。それは、その人の知能水準に関係なくだ。私自身も、この記事を読んでいるあなた自身も、このメンタルトラップからはそう簡単に抜け出すことができない。」新聞報道に踊ったネット民と、筆者の記事を読んでもっともだであると彼らを批判する読者たち、どちらも同じ構図です。韓国語はともかく、自らが英文にもあたらず、筆者の翻訳と解説にのみに依って、筆者の冷静な分析を称賛するコメントがいくつか寄せられています。やはり同類ですね。日本の改憲問題に対する意見は?」と聞かれたら、わざわざ「日本の...」なんて答えるかわりに、そのような質問に答えないという選択肢だってあります。国連の英文ページを読みましたが、日本の改憲の問題に対して、とりわけ日本のリーダーの歴史観を持ち出して注文を付けて、干渉に等しいコメントをした点において、国連事務総長の立場としてアウトでしょう。日本の新聞の反応はともかくとして、日本政府の抗議はもっともです。(2013/09/11)

この様な記事こそ、日経BPのジャーナリズムに対する姿勢を示すものとして、流石は...と思う次第です。一方、寄せられたコメントの中には、未だ見たいものだけを見ているのに気が付かないものが有って、残念です。 将に、ウリジナルを叫ぶ韓国の方々の様だと。 ◆韓国メディアの日本に対する批判を引き出そうとする質問に対して、彼らの想定に肯定も否定せずに 一般論 でうまくかわして回答していると読み取れます。 reflection は、文脈によって反省と訳す場合もありますが、良し悪しの隔てなく振り返って考えることで 「内省」 とするのが通例です。( remorse や sorry でしたら日本語での「反省」に相当するでしょうが) また、日本の政治家について述べた 内省・洞察・未来への展望 の英単語は抽象名詞のまま使用されており、特定の事柄ではなく、記者が水を向けた特定の歴史認識をスルリと交わしている訳です。当然ながら、特定の歴史認識にコメントした発言なんかは国連の公式サイトには載る訳はありませんよね。◆私も潘基文氏が日韓の間で中立性を尊重してそれを守っているとは思っておりませんが、この様なマスゴミのプロパガンダによって熱狂し、自ら深く考える事無く提供される偽情報によって感情的になるのは、日本人の良さが汚されてしまうと思います。(2013/09/09)

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