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改めて考える消費税と景気をめぐる議論

大学の「講義」風に3つの論点から点検してみる

2013年9月11日(水)

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 政府は消費増税をめぐる集中点検として、各界の有識者から意見を聞く大会議を開いた。結論から言ってしまうと、私はこれは大規模な「茶番劇」だったと考えている。

 理由はたくさんある。第1に、今さら意見を聞いてどうするのだろう。消費税をめぐっては、民主党政権時代から(またはもっと前から)散々議論が行われてきており、論点は出尽くしている。心ある人は、消費税に関しては既に自らの意見を固めているはずであり、今さら誰かの意見を聞いて、判断を変える人は少ないだろう。

 第2に、「単に聞くだけ」ということが最初から分かっていた。この会議は正式な意思決定機関でも諮問機関でもない。意見の集約が行われるわけではないし、その結果に政府が制約されるものでもない。そもそも、国会で与野党合意の下に決まった方針を変えるかどうかを議論するのだから、まずは国会で与野党が議論するのが筋ではないのか。

 第3に、予定通り消費税率の引き上げは行われるだろう。何といっても与野党合意で成立したものだ。各経済主体は既にそれを織り込んで行動している。国際舞台でも堂々とアナウンスしている。そして日本の財政事情は深刻であり、先送りは許されない。結局、丁寧に議論したということを示すアリバイ作りだったのではないかと私は思う。

 ただし、私にとってはいいこともあった。私は大学院で経済政策を講じているので、今回のような生きた教材が出てくるのは大歓迎だ。これだけ議論が盛り上がれば、講義で取り上げた時に、院生の側もかなりの関心を持って議論に参加してくれるはずだ。そこで本稿では、私が今後授業の中で紹介し、院生諸君と議論したいと思っている主な論点をたどってみることにしよう。

論点1 そもそも何のために景気と消費税の議論をしているのか

 大学の授業のいいところは、「そもそも論」で始まることである。そもそもなぜ今回のような議論の場が設定されたのか。

 多くの人は次のように理解しているだろう。政府は、2014年4月から消費税率を5%から8%に、さらに15年10月から8%から10%に引き上げるという方針を決めている。これは法律で既に決まっているからだ。この法律には、引き上げを行うに際しては、経済情勢を見極めて行うとされており、「実質2%、名目3%程度の成長」という条件も明示されている。

 その経済情勢の見極めに関して、かねてから安倍総理は、2013年4-6月期のGDPをはじめとする経済統計を吟味したうえで、慎重に決定するという方針を示している。その一環として、政府は各界の有識者を招いて意見を聞くなど検討を続けている。

 さてこの理解は、それほど間違っているわけではないが、一本調子でそういう議論が導かれるわけではない。

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「改めて考える消費税と景気をめぐる議論」の著者

小峰 隆夫

小峰 隆夫(こみね・たかお)

法政大学大学院政策創造研究科教授

日本経済研究センター理事・研究顧問。1947年生まれ。69年東京大学経済学部卒業、同年経済企画庁入庁。2003年から同大学に移り、08年4月から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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