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いや、勝ったのは我々ではない。

2013年9月12日(木)

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 小田嶋さんの「ア・ピース・オブ・警句」が月曜に更新されていたので驚いた。

 というわけで東京五輪招致が成功してしまったので、なにか書かねばの娘になっている。……まあ、なんというか、このニュース、コラムの切り口としては、いくらでもあるように見える。

 純粋にスポーツ観戦の立場から。
 そもそも賛成なのか反対なのか。
 経済効果はほんとうにあるのか。
 福島汚染水の問題。
 招致成功を国民総意の慶事のように扱う報道。
 都内でこれから起こりうるさまざまな影響や規制への懸念……。etc.

 オタクネタだけにしぼっても、ウルトラQ「2020年の挑戦」のケムール人、震災後の湾岸復興がバックボーンの「機動警察パトレイバー」、そしてまさに2020年東京オリンピックを描いている『AKIRA』、と材料には事欠かない。

 だが、語るべきことが多すぎる出来事というのは、かえって論点や視点がぼやけてしまう。そもそもマンガ家が経済問題などをしたり顔で語っても誰も信用しない。今回は思い切って他の一切を切り捨て、一介の唐草男の分際にふさわしい、プレゼンを見ているときに感じた、極めて等身大のモヤモヤした気分にしぼって書くことにする。

 そう、最終プレゼンを深夜のテレビで見ていた私は、その間中、得体の知れない違和感に包まれ、全力でモヤモヤしていた。

 TOKYOの名がなんのタメもなく無表情でコールされた瞬間、そのモヤモヤはさらにブーストし、第二モヤモヤ速度を突破してモヤモヤ宇宙の彼方に飛び去っていった。

 同時に激しい落胆と、続いてある種の諦念のような気持ちが襲ってきた。

 ここで早めに断っておきたいのは、その落胆と諦念は「オリンピックが東京に決まったこと」に由来するものではない、ということだ。

 私は、はっきりいって東京でなんか開催しなくていい、と思っていた側の一人だ。しかし、同時に生のスポーツ観戦はかなり好きであるし、東京への決定を呪詛の言葉とともに全否定するほどのマイナスの熱意はない。

 ひどくがっかりしたのは、つまりプレゼンを見ていたときに感じていたモヤモヤが「まんまと成功してしまった」という、そのことに対してだ。

 だが、そのモヤモヤの正体は、まさに「成功してしまったがゆえ」に、なかなか自分でも見極められないでいた。なんだか気持ち悪い違和感がずっと昼間まで続いていたが、やがてこれは「トラ・トラ・トラ!」に対する「ミッドウェイ」や「パール・ハーバー」のようなものだな、と思い至った。

 あるいはまた、アメリカン・ドリームを成し遂げた鉄板焼きのパフォーマンスとか、テリヤキソースの人(ご苦労はあったろうが)のCMとか、プリンセス・テンコー・ショーを眼にするときの、あの、いたたまれない気持ち。

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「いや、勝ったのは我々ではない。」の著者

とり・みき

とり・みき(とりみき)

マンガ家

熊本県出身。ギャグマンガをメインにしながら、エッセイコミックやストーリー物も手がける。94年『DAI-HONYA』98年『SF大将』で星雲賞、95年『遠くへいきたい』で文春漫画賞を受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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