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韓国人社員との付き合い方

自己主張は最大の保身術

2013年9月19日(木)

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 9月5日の本コラム「部長級でも責任を取らされるサムスン」で、韓国企業に勤務して驚いた文化の1つとして、責任の所在を明確にして措置を図る事例を紹介した。このコラムも、当日のアクセスランキングで首位を獲得し驚いているばかりだ。やはり、韓国企業、特にサムスングループ内部での経験は、日本企業に勤めるビジネスパーソンにとって興味が高いのだろう。

 実は、韓国企業での勤務で驚いた文化がもう1つある。韓国人の強力な自己主張の文化だ。役員や部長、次長級の幹部級社員だけではなく、入社2~3年の若手社員でも自己主張が激しい。これは日本との大きな差だろう。今回のコラムでは、この文化を紹介したい。

 韓国人の自己主張が最も顕著に表れるのが、個人での業績評価だ。評価システムそのものは、ホンダとサムスンではほぼ同じ。期初に年間のテーマと目標を設定。期末には部下の自己申告を基に、上司が最終的な評価を決定していく。ちなみにサムスンでは役員でも同様のシステムである。筆者自身、両社で自らの目標を設定してきたが、日本企業でも類似した評価制度を設けているところは多いと思う。

 もちろん、ホンダとサムスンでの違いは多い。まず、期初の目標設定では、ホンダの場合、目標値をやや背伸びする形でモチベーションを高く設定する傾向がある。一方、サムスンでの目標設定は背伸びせずに、それほど困難なく達成できるレベルで設定する。

 その理由はなぜか。疑問に思った筆者は、2011年に日本に駐在していた韓国人社員に尋ねてみた。すると回答は、「もし期末の段階で本人が掲げた目標が達成されていないと、本人の評価も当然低くなります。だから達成できそうな目標を設定しています」というものだった。

 ホンダの文化では目標を高く設定することで自身を奮い立たせるのだが、サムスンの文化では達成できなかった場合のリスクを第1に考えるわけだ。サムスンでは、昇進し続けるには評価が高いことが絶対条件なので、目標設定がどうしても保守的になってしまう。

業績の自己申告で最大限に主張

 自己主張の文化が色濃く反映されるのは、期末の自己申告からだ。サムスンにおける期末の自己申告では、社員自身が上から、A、B、C+、C、D、Eの6段階の評価を付ける。ここでは、C+が普通の評価となり、それ以下では低評価という位置づけだ。

 筆者自身、部長級から若手までの社員に評価を下す立場にあったが、これが容易ではない。誰もが高い自己申告を提出してくるからだ。ざっくりと言えば、95%の社員がAを、残りの5%の社員がBを付けてくる。標準評価のC+以下の自己申告をしてくる社員は誰ひとりとしていない。こうした傾向は職位を問わず、部長・次長、課長、新入社員に至るまで共通している。

 この理由についても、韓国人社員に直接訪ねてみたことがある。すると、「本人が付けた評価をひっくり返して高い評価をつける上司の役員はいないからです。だからほぼ全員がA評価を申告するのです」との回答があった。もはや自己申告の意味をなしていないが、これがサムスン流だ。

 サムスンでは、社員の評価は役員決裁となる。部下の自己申告書が出された時点で双方向の理解が必要なこともあり面談が実施される。筆者はA評価を申告してくる韓国人社員に、「あなたの能力は現在が最大で、これ以上の成果はあまり期待できないことを意味しているね」と質問を投げかけるようにしてみた。すると、そんな変な質問を投げかけてくる韓国人役員と接したことがなかったのだろう。韓国人社員の反応は、外国人である筆者の質問にポカンとするか唖然とするかのどちらかであり、即答はなかった。

 面談後、全体で調整をして約1カ月後に最終結果を本人に伝達するのだが、社員の自己申告と実際の最終評価との間には大きなギャップが存在することになる。若手社員の多くも標準的なC+の評価に落ち着くわけだ。

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「韓国人社員との付き合い方」の著者

佐藤 登

佐藤 登(さとう・のぼる)

名古屋大学客員教授

1978年、本田技研工業に入社、車体の腐食防食技術の開発に従事。90年に本田技術研究所の基礎研究部門へ異動、電気自動車用の電池開発部門を築く。2004年、サムスンSDI常務に就任。2013年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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