• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

女性活用、国は「ケア」を、企業は「フェア」を

国と企業の役割分担が鍵

2013年9月19日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

企業には企業の合理性がある

 さらに、「女性活用」における過度な国の介入の弊害として指摘したい点がある。それは、行政や学校といった公的機関と民間企業はそもそもの成り立ちからして全く違うということである。その違いとは、競争原理があるかどうか、そして経済合理性に基づいて運営されるかどうかの点に関してである。

 公的機関は競争原理が働いていないため、厳格なノルマもないし、倒産やリストラのリスクもない。また、毎期ごとに利益の拡大を求められたり、経営効率の向上を強制的に求められたりすることもない。もちろん、自治体の赤字体質に対する批判の声も出てはいるが、企業の現場から見れば“ザル状態”であることは多くの方が認めるところであろう。

 こうした事情を背景に、公的機関は民間企業と比べると明らかに金銭的余裕がある。だからこそ、女性に対して手厚い「ケア」施策を提供することができるのだ。例えば直近の女性国家公務員の育児休暇取得率は97.8%(平成24年人事院調査)と、民間企業の女性の育児休暇取得率の83.6%(平成24年度雇用均等基本調査)より15%も高い。

 教員になった知人女性の話を思い出す。「民間の企業は大変ね。私の場合25歳で1人目を生んで育休中に2人目を妊娠して、結局丸6年育児休暇を取れたの。妊娠中は体育の授業をサポートしてくれる専任の先生がいたし育休中も臨時採用の先生が代行してくれて。学校現場の理解も十分得られたの。」

 一方、競争原理の働く民間企業では、意欲も能力もない女性を抱えているわけにはいかない。経済的余力もなく多くの経営資源を女性への「ケア」に回すこともできない。そして、生き馬の目を抜く競争原理を背景に育ってきた人達で形成される組織風土の中では、長い育児休暇や逆差別的な昇進・昇格制度を理解する空気もなかなか醸成されない。

 にもかかわらず、国は民間企業に公的機関と同様の「女性活用」の姿を要求しているのが現状だ。財政赤字を積み上げても救ってもらえる公的機関ならいざ知らず、何もかも企業に押しつけたら企業には重い負担となって動けなくなり、肝心の競争力を失ってしまう。国は、企業経営の実態の厳しさを十分に理解していないのかもしれない。

政府がまずすべきこと

 こうした背景を無視して、企業に「女性活用を進めよ!」と迫り、数字を押しつける現在の国の方針は、明らかに合理的でも現実的でもない。せめて原資の部分だけでも企業に補填してあげることを考えてはどうか。それは言い換えるなら、「女性が働きやすい環境」に関しては、国家の社会インフラとして国家の責任と負担で整備するということだ。

 女性が働く上で最大の阻害要因となるのはやはり何と言っても育児と介護の問題であろう。現在、待機児童は、諦めて保育所の入所申し込みにも来ない潜在的な待機児童を含めれば85万人以上もいるとされるし、特別養護老人ホームに入居待ちの24時間要介護の高齢者も42万人を超えている。この事態を解消せずして、どうして社会として「女性活用」が進もうか。

コメント0

「「女性活用」本音と建前」のバックナンバー

一覧

「女性活用、国は「ケア」を、企業は「フェア」を」の著者

中川 美紀

中川 美紀(なかがわ・みき)

ビジネスアナリスト

東京学芸大学教育学部卒業後、戦略系経営コンサルティング会社XEED入社。アナリストとして様々なプロジェクトに従事。近年は特に、企業の人材育成やキャリアマネジメント、及びダイバーシティ推進など人事系の分野に注力。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

定年後の社会との断絶はシニアの心身の健康を急速に衰えさせる要因となっている。

檜山 敦 東京大学先端科学技術研究センター 講師