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ある日突然、勤めている会社が買収されたらどうしますか?

得難い経験をしてこそリーダーシップは育つ

2013年9月19日(木)

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 皆さんは勤務先が突然買収された経験はありますか。このような経験をした人はあまりいないのではないでしょうか。僕は36歳のとき、働いていた会社が買収される経験をしました。

 当時僕は、ライオンから金融機関を経て、ネスレに次ぐ欧州第2位のコーヒー・チョコレートメーカーに勤めていました。日本で新たに事業を立ち上げるにあたり、マーケティングの責任者として誘われ、入社したのです。それからの1年半は非常に面白いビジネス経験をしました。日本のトップを務めるドイツ人とともに、オフィスを立ち上げてスタッフを3カ月で100人近く雇い入れ、テストマーケティングも行いました。

 入社前に訪れた、この会社のチューリッヒの本社が実にユニークでした。7000億円もの売上の企業なのに本社のスタッフはわずか二十数人。外観は民家にしか見えず、「コーヒーミュージアム」とだけ記されています。本当にここなのだろうかと思いながら入ると、CEOが迎え入れてくれました。しかし不思議なことにCEOの椅子が見当たりません。なぜなのか、執務はどうしているのかと尋ねたところ、その答えが振るっていました。

 「私の仕事は考えることと意思決定すること。それはどこででもできる。立派な椅子に座っている必要はない」

 ふと壁を見れば「コーヒーカンタータ」というバッハの原譜が飾られていたり、マイセンの稀少なコーヒーカップが並べられたりしています。何でも彼の海外出張中は社屋を一般公開するということでした。だから「コーヒーミュージアム」と掲げられていたのです。看板に偽りなし。

 その場で僕はそのCEOに、「入社を決断するにあたり、あなたに3つの“C”を問いたい」と質問したのです。日本市場に対するCommitment(決意)、Consistency(ぶれないこと)、それとContinuity(継続性)。ずいぶん鼻息が荒かったなと我ながら思いますが、「日本の市場に新規参入して成功を収めることは簡単ではない。長期的に取り組む覚悟はあるのですか?」と聞きたかったのです。

 それに対して彼は、「5年間は利益が出なくてもいい。時間をかけてブランドを育成し黒字化してくれ」とのことでした。しびれましたね。創業者の一族ということもあるでしょうが、何より肚が据わっているなと感心したものです。そしてそれを魅力に感じたこともあり入社したのですが…。

5年の猶予があるはずが、一夜にして…

 チョコレートのテスト販売を行い、いよいよ事業を本格化させようとしていた頃、そのCEOからマイケル・ポーターの著作『Competitive Advantage(競争優位の戦略)』が送られてきました。これを読んで3カ年のビジネスプランを作れというのです。僕たちはその指示通りに一生懸命、資料を用意して、本国スイスに向かいました。

 お城の内部をつくりかえた近代的な研修センターに世界60カ国からスタッフが集い、予定では3日間缶詰になる予定でした。ところが、空港に着くと迎えの人が来ていて、「明日からの会議はキャンセルだ」と聞かされ、チューリッヒの本社に向かうことになりました。例の「コーヒーミュージアム」です。

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「ある日突然、勤めている会社が買収されたらどうしますか?」の著者

魚谷 雅彦

魚谷 雅彦(うおたに・まさひこ)

ブランドヴィジョン社長

1954年生まれ。同志社大学卒業後、ライオン入社。2001年、日本コカ・コーラ社長。06年より11年まで会長。07年にブランドヴィジョンを設立。07年7月より10年6月までNTTドコモ特別顧問。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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