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中国への「選択と集中」は見直すべき時です

チャイナリスク再考(第6回)

2013年9月26日(木)

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 企業のビジネスを巡って日々流れるニュースの中には、今後の企業経営を一変させる大きな潮流が潜んでいる。その可能性を秘めた時事的な話題を毎月1つテーマとして取り上げ、国内有数のビジネススクールの看板教授たちに読み解いていただき、新たなビジネス潮流を導き出してもらう。

 9月のテーマは、日本企業が直面する「チャイナリスク」。2012年9月11日に日本政府が尖閣諸島を国有化してから1年。中国国民の間でくすぶり続ける反日感情は、現地に進出している日本企業の事業活動にどのような影響を及ぼしているのか。また、賃金の高騰などによって、「世界の工場」としての中国の位置づけは変わりつつあると言われるが、実態はどうなのか。国内ビジネススクールの教壇に立つ4人の論客がリレー形式で登場し、持論を披露する。

 今回は慶応義塾大学ビジネス・スクールの小幡績准教授の論考を紹介する。経済条件からも政治環境からも、「生産基地」としての中国への一極集中は見直すべきと説く。

(構成は小林佳代=エディター/ライター)

 尖閣諸島問題が先鋭化し、激しい反日デモが起きるなど、中国ビジネスのリスクが改めて意識されています。中国ビジネスの未来はあるのでしょうか。

 中国はこれまで世界の工場として捉えられてきました。日本企業にとっても国内から生産拠点を移す第一候補であり、多くの企業が安い労働力を求めて生産を集中させてきました。しかし、現在では、この状況は全く成立していません。

 内陸部から沿岸部へ出稼ぎに来る余剰労働力は枯渇し、中国の労働者の賃金は高騰しているだけでなく、ストなど労働問題も頻発しています。後者の問題はより深刻で、質の不安定性は致命的で、中国には任せられないという意見も強まっています。

 また、尖閣問題に見られるような反日デモ、製品ボイコットなどの政治リスクもあります。従って、コストメリットもなく、労働の質と政治リスクという最も重大なリスクが存在することになり、中国への生産拠点の集中は、最悪の戦略となってしまいます。

 そもそも、「一極集中」「一本足」の経営は、一時的に最適になることはあっても、長期的にその最適性が持続することはあり得ません。万が一最適であり続けたとしても、そうなると、ほかの企業もみなこぞって同じことをして、労働の奪い合い、地価の高騰、都市の混雑など、必然的に条件は悪くなってしまいます。最適だった環境は、必ず最適でなくなるのです。

 日本の製造業は中国で生産して「世界で最も安く作れる」ことを売り物にしようとしました。けれど、それはどの国の企業にもできることです。いろいろな国の企業が殺到し、「安さ」では差が出なくなります。そのうえ、多くの企業が集まってきたことで、労働者の賃金は上がり、やがて「安く作れる」という生産面のメリットすらもなくなります。

 この図式は中国以外の国にも当てはまります。

 米国のアパレルメーカーなどはカンボジアに生産拠点を集中させてきましたが、カンボジアでも最近、中国と同じように労働問題が起きるようになっています。

 圧倒的なコストの安さが存在した2003年ごろまでの中国を除くと、生産面のコスト条件だけで工場を選んでうまくいくケースはほとんどないと言っていいでしょう。生産コストはあくまでも条件の1つ。今はそれよりも、消費地にできるだけ近いところで、消費者が望む製品をつくり差別化するやり方がトレンドになっています。

 10年後、20年後にはまた別のやり方が最適になっているかもしれませんが、消費地立地というのはトレンドであるというより王道です。グローバル化が進み、企業は王道で勝負しなくてはいけない時代になったのです。

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「中国への「選択と集中」は見直すべき時です」の著者

小幡 績

小幡 績(おばた・せき)

慶応義塾大学ビジネス・スクール准教授

1967年生まれ。92年3月東京大学経済学部卒業、同年4月、大蔵省(現財務省)入省、99年退職。99~2001年ハーバード大学。2001年ハーバード大学にて経済学博士を取得。2003年から慶応義塾大学ビジネス・スクール准教授。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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