• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

三井物産、「新社屋に滝」の創造力

2013年10月1日(火)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 三井物産が2019年に東京・大手町の本社ビルを建て直す。このほど全社員に新社屋への要望を聞いたところ、ある社員から飛び出したのは「カルガモ池」の近くに、高さ100メートルの人工滝を創るという妙案。水が落下する力を再利用した発電や、マイナスイオンの癒し効果で都心の新たなオアシスを目指す。さすがに実現性のほどは疑問だが、新規事業の可能性をあらゆる角度から探る企業風土をうかがわせる。

 創造力や現場感覚の豊かな人材がどれだけ揃っているかが企業の競争力を左右する――。神戸大学の金井寿宏教授は、こんな問題意識とともに企業風土の礎となる人材育成に注目する。とりわけ将来、企業の担い手となる若手リーダーの育て方が、経営の生命線であることは論を待たない。商社業界の両雄、三井物産と三菱商事の取り組みを比較すると、スタンスの違いが鮮明になってくる。「ヒトの物産」「組織の商事」といわれるゆえんだ。

 まず三井物産は、優秀な社員をいち早く見極め、能力をさらに伸ばそうとする姿勢が見受けられる。

 一例が「プロマネ育成塾」だ。今年から年2回、30~40代の中堅社員約2000人から各回8人程度を選抜し、7カ月間にわたる長期研修を始めた。塾生は食糧、エネルギーなど各営業本部から原則1人。各本部長が厳選する。

 育成塾のテーマは、ブラジルの農園やカタールのLNG(液化天然ガス)など、三井物産が現在展開している「生きた事業」ばかり。所属や職歴の違う塾生が7~8つのテーマを同時並行で議論することで、事業の問題点や解決策を見いだしていく。成果は経営陣の前で発表し、即座に実際の事業に反映される。

 例えば三井物産が手掛ける資源・エネルギー事業は、米化学大手ダウ・ケミカルや出光興産など、内外企業との合弁形態が中心だ。出資比率も数%から過半数まで幅広い。それだけにプロジェクトを円滑に進める、いわばプロデューサー型の手腕が物産マンに求められるようになった。

 育成塾に参加したエネルギー第二本部天然ガス第二部の中村浩美シニアマネージャー(44歳)は「出資比率が低くても、参加企業を束ねるコーディネーション力が商社の強みだと改めて分かった」と打ち明ける。中村氏は神戸製鋼所、世界銀行を経て三井物産に中途入社した経歴を持つ。

 商社では1つの事業部で育つ「背番号制」が長く続いてきた。それが国・地域を越え幅広い合弁相手との事業が増えるにつれ、仕事の領域も投資案件の発掘から採算の管理、後輩の指導や国・地域への社会貢献に広がっている。

 あるベテラン物産マンは「三種の神器は『酒、ゴルフ、冠婚葬祭』から『財務・会計、異文化理解、環境・コンプライアンス(法令順守)』に変わったよ」と打ち明ける。仕事を離れたコミュニケーションも大切だが、より高度なビジネススキルを磨くことが結果的に人間関係を広げ、息の長い商売につながるという教訓だ。

コメント0

「記者の眼」のバックナンバー

一覧

「三井物産、「新社屋に滝」の創造力」の著者

清水 崇史

清水 崇史(しみず・たかし)

日経ビジネス記者

98年早稲田大学大学院修了、通信社を経て日本経済新聞社に入社。証券部で機械・プラント、海運・空運などを中心に取材。2013年4月から日経BP社に出向。総合商社、金融マーケットを担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

コメント入力

コメント(0件)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

人々が働きたいという会社になるには 「働きやすさ」と「働きがい」、この2つが必要だ。

川野 幸夫 ヤオコー会長