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「おもてなし」マーケティングとプレゼンが招致成功の決め手。だが真の勝者は…

2020年東京五輪決定をマーケティング観点から考える

2013年10月3日(木)

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 2020年夏季オリンピックが東京で開催されることに決まりました。開催都市が決まる直前にこのコラムでオリンピックを招致することの意義について書きましたが(記事はこちら)、東京への招致が実現したことは本当に喜ばしいことだと思います。

 そこで今回は、改めて東京が招致レースに勝利した理由を振り返ってみたいと思います。なぜなら、そこにはマーケティングの要素がたくさん詰まっており、まさにマーケティングの勝利だと考えるからです。

 僕が勝利の要因と考えるのは大きく次の2つです。まず1つ目はIOC委員一人ひとりに東京を選んでもらうための個別アプローチ=One to Oneマーケティング。そしてもう1つが、一般的に日本人が下手だと言われているプレゼンテーションの成功です。

 前者を象徴するのは、何といっても東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会メンバーによるロビー活動でしょう。国際オリンピック委員会(IOC)には100人近くの委員がいます。当然それぞれの委員が異なる背景を持っており、委員の人各々の思惑があったでしょう。そうした中、個々の心をしっかりつかもうと分析を重ね、一人ひとりに個別に有効なアプローチを図ったのです。

「おもてなし」は個のマーケティングの神髄

 竹田恆和JOC会長ご自身もかつてミュンヘン、モントリオール両大会の馬術競技に出場したオリンピアン(オリンピック競技大会に出場する代表選手)でしたし、IOCの委員も多くはそうですから、気持ちが通じやすいということもあったかもしれません。ただ、それ以上に、一人ひとりの委員の心をいかにつかみ、東京という都市を選択してもらおうという工夫がありました。これはまさにマーケティングに不可欠な要素です。

 そしてこれは、日本人が持つおもてなしの心に通じると思いました。IOC総会での最終プレゼンテーションで滝川クリステルさんが披露した「お、も、て、な、し」というフレーズも大きな話題となりましたね。

 「おもてなし」は英語では「hospitality」と訳されることがありますが、「hospitality」という単語では十分に言い表せないものだと思います。

 日本のおもてなしを最もよく象徴する一例として僕がいつも思い出すのが石田三成の「三献の茶」です。これは豊臣秀吉と出会った際の逸話として伝えられるものです。お寺の小僧さんだった三成が、鷹狩の途中に喉の渇きを覚えて観音寺に立ち寄った汗だくの秀吉を見て、まずはぬるめのお茶をたっぷり、次に温かいお茶を少なめに、そして3杯目には熱いお茶を少しだけ差し出したというエピソードです。真偽をめぐっては諸説ありますが、相手の状況を慮って、つまりお客様基点で、心に届くサービスする姿勢を日本人は持っていたことを示しています。そしてこれこそが「おもてなし」マーケティングの神髄だと思うのです。

 例えば新幹線が数分と遅れることなく、そして大きな事故もなく運行し続けていることも、お客様基点に立った立派な「おもてなし」のサービスだと思うのです。しっかりマーケティング要素を持っているわけですが、日本の中ではあまりそのようには認知されていません。その理由は、ことさら体系的に説明しなくても「価値をわかってもらえている」と暗黙知的になっていることにあるのかもしれません。日本の中ではそれでもいいのかもしれませんが、文化や生活環境が異なる世界の人たちに理解してもらうには、きちんと説明すること、プレゼンテーションすることが欠かせません

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「「おもてなし」マーケティングとプレゼンが招致成功の決め手。だが真の勝者は…」の著者

魚谷 雅彦

魚谷 雅彦(うおたに・まさひこ)

ブランドヴィジョン社長

1954年生まれ。同志社大学卒業後、ライオン入社。2001年、日本コカ・コーラ社長。06年より11年まで会長。07年にブランドヴィジョンを設立。07年7月より10年6月までNTTドコモ特別顧問。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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澤田 秀雄 エイチ・アイ・エス会長兼社長、ハウステンボス社長