「100円ショップのふるさと」と呼ばれる義烏を6年ぶりに再訪した。気になったのは、前回の訪問以降に建てられた新しい卸売モールの閑散ぶりだ(関連記事「中国「100円ショップのふるさと」の今(上)」)。
実はこの卸売モールなどを保有、運営する「浙江中国小商品城集団」は義烏市政府系の企業で、上海証券取引所に上場している。上海証取における開示資料は決してフレンドリーではないけれど、数字の裏付けを得られるのは大きい。浮かび上がるのは、義烏が中国経済の縮図になっている現状だ。
まず、モールのビジネスモデル。浙江中国小商品城集団は子会社を通じてモールを建て、モール内を細かく区切って、その使用権をメーカーなどに貸与する。賃料は、それほど安くない。最も新しいモールである「5区」の空きブースの募集広告を見ると、基準賃料は1平方メートル当たり年額で2833元(約4万5000円)。30平方メートルなら年135万円ほどになる。地方政府が農民から安く土地を収用し、それをデベロッパーに払い下げる不動産開発のモデルを連想させる。
マンション開発を手がけるデベロッパーも地方政府の資本が入っていることが少なくない。これも類似点だ。ただし、特定の場所により密集させることで、土地の単純な払い下げよりも効率の良いビジネスモデルを構築した点で、義烏市はより緻密だと言える。
ブースの使用権は譲渡・転貸が可能で、「使用権ころがし」にも似た行為が日常的に行われている。ここも土地、マンションと似ている。譲渡・転貸の情報は卸売モールの電光掲示板に掲載されているほどだ。

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