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ヘイトスピーチは、法律で禁止するべきなのか

法律化がもたらすリスク低減と、その代償としての知の劣化

2013年10月10日(木)

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 京都の朝鮮学校の周辺で「ヘイトスピーチ」と呼ばれる差別的表現の街頭宣伝を繰り返していた「在日特権を許さない市民の会」(在特会)などに対して、街宣禁止と約1200万円の賠償を命じる判決があった。

 2009年、京都朝鮮第一初級学校に「在日特権を許さない市民の会(在特会)」の人々がやってきてスピーカーであれこれと主張をしていたことは、以前から一部ではニュースになっていた。

 事の経緯は、広い土地を持っていない同校が、自分たちの土地でない近隣の公園を運動場代わりにしていたことについて、在特会の人々が憤慨し街宣活動をしながら立ち退きを求めたというものだ。近隣の公園を自分たちの運動場代わりに使うことは、過去の経緯がどうあれ弁解しにくいものの、問題となったのは、在特会側が街宣時に発した言葉だった。

 その時の様子はYoutubeにある通り。例えば、2分54秒あたりでは、「何が子どもじゃ、スパイの子どもやないか、スパイの」と言うなど、かなり口汚い。何も知らない子どもが、「スパイの子ども」呼ばわりされたら、どんな気持ちになるのだろう。子どもにとってのスパイのイメージは映画やドラマに出てくる007みたいなものかもしれない、と笑い飛ばしてみたいが、実際には彼らのがなり立てる声を聞きながら、泣き出す子どもは少なくなかったという。

 これについて朝鮮学校側は、在特会などに学校周辺での街宣活動の禁止と3千万円の損害賠償などを求める訴訟を起こしていた。その判決が13年10月7日に京都地裁でなされ、この街宣活動は人種差別撤廃条約が禁止する「人種差別に該当し違法」であり、在特会側に約1200万円の支払いと、学校周辺での街宣活動の禁止が命じられた、というわけだ。

 この街宣活動そのものについては威力業務妨害とする最高裁判決がすでに出ていたものの、この判決の特色は、問題となった街宣活動が、人種差別に該当するという理由で禁止された点だ。ヘイトスピーチを禁止する法律は海外には存在するものの、日本には存在しておらず、それゆえに今回の判決はかなり際立ったものとなった。

表現の自由か、差別禁止か

 簡単に、ヘイトスピーチが法的に禁止されている国の理屈を整理しておこう。ヨーロッパを中心として、ヘイトスピーチを明示的に禁止している国は少なくない。イギリス、フランス、ドイツ、オランダなどのヨーロッパ主要国はほとんど全て何らかの法律でヘイトスピーチを禁じており、先進国の中でこういった法律を持っていないほうがむしろ少数だ。

 これらの国でヘイトスピーチが禁止されている理由は、逆説的ではあるが「表現の自由を守るため」だといわれている。なお、皮肉なことに、先に述べていた裁判で在特会側が主張していたものも表現の自由だった。

 ヘイトスピーチ禁止は、一見すると表現の自由を制限しているようにみえるのに、どういうことかと思う人もいるので、もう少し説明したい。

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「ヘイトスピーチは、法律で禁止するべきなのか」の著者

慎 泰俊

慎 泰俊(しん・てじゅん)

投資プロフェッショナル

東京生まれ東京育ち。朝鮮大学校政治経済学部法律学科卒、早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。モルガン・スタンレー・キャピタルを経て現在はバイアウトファンドの投資プロフェッショナルとして働く。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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