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チャーチルの伝記から考える「リーダーシップ」と「リーダー」

2013年10月21日(月)

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 若い頃からリーダーとは何かということを考え続けて来た。組織に所属する人は誰だってそうに違いない。私も昔は所属している部門のリーダーについての不満や疑問から、リーダーはどうあるべきかを考えるようになったし、次第に会社を率いる社長のことも考えるようになった。そこで学んだことは、リーダーとしての自分の立場が変わるにつれて、あるべき理想のリーダー像も変わって行くことだった。

 「あるべきリーダー像」が変わるというのは、簡単に言えば中間管理職に望ましいリーダー像と、最高水準のリーダー、会社で言えば社長にあるべきリーダー像はまるっきり異なるということだ。更に言えば、一国の宰相や王の示すべきリーダー像はまた異なるだろう。そこでは日常の論理だけでは解釈できない政治性のようなものが求められるであろうからだ。

 私はまた、一見混同しがちな「リーダーシップ」と「リーダー」は全く違うということに気がつくようになった。

魂のように浮遊するリーダーシップ

 私の書いた『部下がついてくる人』(日本経済新聞社)では初めてその考えを発表した。そこではリーダーシップはいつでも誰でも発揮されるものであり、地位や権力のある人だけのものではないということだ。

 例えば会議中に大地震が起きる。その時出席者の中で一番若い人が「みんな机の下に入れ」と叫んだら、その瞬間リーダーシップはその若い社員にあり、議長である社長のところにはない。

 だから私はリーダーシップは恰も魂のように浮遊して、いつも降りる所を求めていて、この場合は若い社員の所に舞い降りたということだと思う。

 さすれば地震のショックや被害の収拾策を含めて若い彼がリーダーになり得るかと言えば、必ずしもそうはならないであろう。

 地震発生の瞬間、リーダーシップは若い彼に宿ったが、その後の彼の意識や行動はリーダーシップにとって、いつまでも気持ちよくとどまっていられる状態とは限らない。やがて彼は己を取り戻し、正常な判断を取り戻した社長に再び支配されるようになるだろう。

 何故かと言えば、人間には支配したい本能があるのと同時に、支配されたい本能もあるからだと思う。支配力が発揮される時はその人の人間力即ち人徳、風貌、態度のようなものと、いろいろな力、例えば思考力、演説力、演技力といった諸要因が統合されるのだ。そこではその年功、経験が役に立つので、そうしたものが一介の若い社員に備わっている可能性は低いのである。

 もう一つ、先にリーダーシップは魂のように浮遊していると述べたが、次々とリーダーシップを呼び寄せてそこにとどまらせることがとても重要になる。

 多くのリーダーシップがいつも同じ人にとどまって活き活きとしている時、人はこれぞリーダーだと思って従い、喜んで支配されるばかりか、事々にリーダーを助け、危急の折には身を挺して救うようなことさえある。

 ナポレオンの創設したレジオン・ド・ヌール勲章は己を犠牲として弾除けになった下士官の功を讃えるために与えられたと聞いた。それは部下が「心服」することによって起きることなのだ。

 それは別として誰でも低い地位のリーダーになった頃に目標としたリーダー像と、その後にトップに立つ頃に目指すリーダーの姿は変化するということだ。

コメント4件コメント/レビュー

時代が彼をリーダーに祭り上げ、その時代が非情にも彼を切り捨てた。リーダーとは時代の気まぐれが見出すものだ。(2013/10/21)

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「チャーチルの伝記から考える「リーダーシップ」と「リーダー」」の著者

福原 義春

福原 義春(ふくはら・よしはる)

資生堂名誉会長

1931年東京生まれ。1953年慶応義塾大学経済学部卒業後、資生堂入社。米国法人社長を経て、フランス、ドイツに現地法人を設立。1987年代表取締役社長。1997年代表取締役会長。2001年名誉会長。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

時代が彼をリーダーに祭り上げ、その時代が非情にも彼を切り捨てた。リーダーとは時代の気まぐれが見出すものだ。(2013/10/21)

ホンダの創業者がチャーチルの回顧録から【企業が切羽詰った時に必要な、ゆとりのある考え】に至るエピソードをいくつか引用しています。「空襲警報のサイレンの発令が早すぎる。街の消灯が早くなる。防空壕で過ごす時間が長くなる。それで国民の精神と体力を疲弊させる。空襲警報の発令は遅くせよ」「のどから手の出るほど欲しい兵器には違いないが、近頃肉の配給が少なすぎる。軍事用の船の一部を削って、食肉を輸送してほしい。この戦争は長いのだ。国民の体力を消耗させぬことが第一だ」「このような最悪の事態のとき、一国の首相の不信任案が提出できる英国民と英国議会は、自由社会なればこそだ。ドイツやソ連では考えられないことだ」(2013/10/21)

しかも英国国民は第二次大戦のリーダーだったチャーチルを戦後は不要と切り捨てたのもお忘れなく。そういえば大陸戦略爆撃をしたかったチャーチルはハリス大将にやらせて、事が成就すると、あれはハリスの意見だとクビにします。コワイ人です。(2013/10/21)

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ジェニー・ダロック 米ピーター・F・ドラッカー伊藤雅俊経営大学院学長