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放蕩息子はいつまでも夢を見る

2013年10月10日(木)

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 イタリアから帰ってきたばかりだが、いまは熊本へ向かっている最中なのだった。

 あわただしいにもほどがあるが、父親が亡くなったので帰省中の飛行機の中でこれを書いている、というわけだ。

 ……と、いま「父親が」と打ち込んだら、私のiPadの変換は「機械に吸い込まれ」を次節候補の最上位として用意した。いつのまにあの男は機械に吸い込まれたのだ。というか、そんな文を過去に打った覚えはないのだが、iOSの変換はデフォルトであらゆる父親を機械に吸い込ませているのだろうか。

 だいたいなんだ、人を吸い込む機械って。
 私は自分のマンガで、書店を狙ったテロで手あたりしだい本を吸い込むロボットというのは出したことがあり、勢い余って人も吸い込ませたが、その因果応報であろうか。現実には人はかなり危険な作業現場でなければ、めったに機械に吸い込まれることはないだろう。

 謎だ。

 ええと、父親は機械に吸い込まれて事故死したのではなく、年齢による、それ相応の病気と衰弱で死んだのである。

 身内の不祝儀をコラムネタにするのもどうかと思ったが、もともとこのコラムは時事ネタとプライベートなエッセイの混合のようなものだ。

 あと、私のマンガをわりとマメに読んでくださっている読者の方ならご存じだと思うが、この人はしばしば私のマンガに登場している。つまるところ私が登場させている。したがって、実の父親でありながら何割かは私のマンガのキャラクターのようなものである。

 同様の、もっとも登場頻度の多い、友人をモデルにしたキャラクターである「タキタさん」の造語によれば、私の「漫画俳優」の一人だ。だから、私のマンガ読者という極めてニッチな範囲ではあるが、多少、関心のある人もいるだろうと思った次第。

 そういえば、WEB上のとり・みきというマンガ家の解説には、登場人物に友人知人をモデルとしたキャラクターを使うことが、さも特異であるかのように書かれている。

 私はこれを心外に思っている。
 そんなことは手塚治虫以来、いやそれ以前から、さほど珍しいことではない。

 私の場合は、たまにエッセイマンガなども描き、キャラのモデルとなった人物を実名で登場させることもあるから素性がばれてしまうが、およそたいていのマンガ家は、自分の周りの人間の顔の造作や性格を、自分のマンガキャラの造形の参考にしている。ただ、いちいち自らキャラの出自や由来のネタバレをしないだけだ。

 とはいえ、父親の場合はフィクションのキャラとして登場することはあまりなく、もっぱらエッセイマンガに本人役で出ていた。それはつまり、そのほうが面白かったからだ。

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「放蕩息子はいつまでも夢を見る」の著者

とり・みき

とり・みき(とりみき)

マンガ家

熊本県出身。ギャグマンガをメインにしながら、エッセイコミックやストーリー物も手がける。94年『DAI-HONYA』98年『SF大将』で星雲賞、95年『遠くへいきたい』で文春漫画賞を受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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