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2位じゃダメなのか

日本シリーズでは敗者も温かくたたえよう

2013年10月18日(金)

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 「日本一」は脚光を浴びるが、「日本二」が顧みられることはほとんどない。

10月26日から始まるプロ野球日本シリーズ。チャンピオンには惜しみない賛辞が寄せられるだろうが、敗れたチームは2番目に強いと見られることもなく、ただの敗者に墜ちる。この不条理な扱いに、どれだけのチームと野球人が泣いたことか。その悔恨のドラマをたどる。

 巨人・川上哲治はV9を含めて日本シリーズで11度も指揮を執った。そのすべてで勝った「最多日本一監督」である。これに対して、西本幸雄は大毎、阪急、近鉄の3球団の監督として日本シリーズに8度出たが、ことごとく敗れた「最多日本二監督」だ。3球団でペナントを勝ち取った手腕を評価されるより、短期決戦を苦手にする勝負弱さばかりがクローズアップされた。

契約金も功労金も無しの優勝監督

 象徴的なのが、ともにスクイズ失敗にまつわる「バカヤロウ事件」と「江夏の21球」である。

 1960年の大毎-大洋の日本シリーズは、大毎有利の下馬評を裏切るストレート負けだった。すべて1点差。老巧な大洋監督・三原脩と新人監督西本の手腕の差が、いやでも目立った。

 その第2戦。1点ビハインドの8回1死満塁で5番谷本稔のスクイズ失敗で併殺されたのが、大毎オーナー・永田雅一の逆鱗に触れた。

 一緒に観戦したパ・リーグ会長の中沢不二雄、南海監督の鶴岡一人も「あのスクイズはおかしいと言っている」という同オーナーに対し、西本は「大毎のことなら、お二人より私が知っている」と反論した。すると「バカヤロウ」と怒鳴られた。

 「バカヤロウは取り消してください」とやり合った揚げ句に解任だ。契約金なしでコーチから監督に昇格したが、リーグ優勝の功労金もないままに1年で退陣した。

 79年の近鉄-広島のシリーズは3勝3敗で最終戦へ。近鉄が1点ビハインドの9回1死満塁で1番石渡茂がスクイズを外された。三塁走者が憤死した後、石渡も三振。19年前の大毎-大洋戦と同じ悔いを残して敗れた。

 西本は打席に向かう石渡を呼び寄せ、「小細工はしない」と伝えた。だが、初球を自信なげに見送った石渡を見て、サインをスクイズに切り替えた。勝負どころでの監督の迷いは、選手に微妙に響いた。それとは対照的に、カーブを投げるはずのボールの握りでスクイズを外した広島・江夏豊の投球センスの良さが光った。

 後に作家の山際淳司がこの戦いをドキュメントに仕立てた「江夏の21球」が評判を呼び、日本シリーズの名場面として今も語り継がれている。だが、西本は「とっさに立ち上がり、ピッチドアウトを指示した捕手水沼四郎のファインプレー」と言い続けた。

 西本にとってスクイズ失敗の2ケースよりも悔しいのは、5度挑んでことごとく跳ね返された川上・巨人との対戦だった。

 67年から3年続けて2勝4敗で屈した。力が接近したと見られた71年と72年は1勝4敗と逆に差をつけられた。西本の印象に残ったのは「ボールに手を出さない巨人の“しつけ”の良さ」だった。5シリーズで王貞治、長嶋茂雄には10本ずつホームランを打たれた。リーダーに見習ってボールに手を出さない打線を相手に投手陣は苦しみ抜いた。

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「2位じゃダメなのか」の著者

浜田 昭八

浜田 昭八(はまだ・しょうはち)

スポーツライター

アマからプロまで野球一筋半世紀という超ベテランのスポーツライター。現場取材にこだわり続けて、今日も記者席から白球を追う。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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