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アンパンマンから「まんが学校」で学んだこと

2013年10月17日(木)

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 最初に謝っておくけれども、私は『アンパンマン』の、いい読者や視聴者とはいいがたかった。

 これは単純にこちらの年齢の問題で、作品の出来とは関係がない。
 もちろん、吹替の原稿を書いたりする手前、声優陣のお仕事はチェックしていたが、こちらの守備範囲はもっぱら外国映画なので、分際を超えて語るようなことは、ほとんどなかった。

 一見シンプルに見えるキャラクター設定やストーリーだが、あの作品に込められた哲学的ともいえる寓意については、作者自身の言葉も含め多くの人が言及しており、また作者の死を機にこれからWEB上にもいくつもUPされるであろうから、ここでは触れない。語るにふさわしい方々が他にたくさんおられるだろう。

 私は私のごくごく個人的な、子供のころからの「やなせたかしのイメージの変遷」というようなことについて書いておきたいと思う。

 やなせたかしのキャリアは古く、作詞家やイラストレーターなど多方面での活躍は昔から目にしていたが、「マンガ家として」メジャーブレイクしたのは『アンパンマン』がアニメ化されて以降の70歳前後、という、この業界にあってはちょっと特別な経歴の人だった。

 高齢でありながらも意気盛んで、お元気で、直言居士で、つけ加えれば晩年に経済的成功を成し遂げた現役感満々なご様子は、水木しげる翁と並び、短命に終わることの多い我々マンガ家の希望であり理想だった。

 ただ、水木しげるが貸本時代からの、いかにもマンガ家然としたマンガ家であるのに対し、やなせたかしは先に述べたように80年代まではマンガ家以外の活動のほうが目だっていた。

 実は、失礼にもほどがある話だが、正直に書くと、そのころまでは「マンガ家のやなせたかし先生」という紹介を見ると、若干の違和感を覚えていた。自分では「あらゆるマンガ活動は等価」と頭で考えているつもりでも、どこかしら週刊少年マンガ誌を頂点とする(もっぱら経済的な)ヒエラルキーにまだ毒されていたのだろう。

 いっぽうで、やなせたかしは、私が初めて「テレビで見た」マンガ家でもあった。

 いまに至るもこの世には二通りのマンガ家しかいない。
 テレビに出るマンガ家と出ないマンガ家だ。

 やなせたかしは、マンガ家としてはもっとも早い時期からテレビ、それもNHKでレギュラー番組を持っていた。1964年から67年まで、NHK総合の月曜夕方6時から放送されていた25分の子供向け番組「まんが学校」が、それだ。

 回答者には視聴者の子供たちを招き、司会は立川談志、やなせたかしは「漫画指導」という立場で毎回出演していた。ちなみに、やなせたかしだけではなく、立川談志という落語家も、私はこの番組で初めて知った。

 いまではマンガというのはごくごくあたりまえにそのへんにあって、子供も(日本では)大人も読んでいるけれども、60年代はまだ少年マンガというのは一種の「ブーム」であり、親や家によっては読むのを禁じられたりもしていた。

 そうしたブームを踏まえての番組だったわけだが、民放より先に、当時のお堅いNHKがまず先にこういう番組を作ったのも面白いし、のちのキャラクターからすれば、談志がNHKの、しかも子供番組の司会をやっていたのも意外だ。

コメント6件コメント/レビュー

同世代女子です。まんが学校見てましたよ。親が「1」しか、見せてくれなかったので。談志師匠もやなせ先生も、ぜんぜんこどもに媚びないので、けっこう緊張感あった記憶があります。おふたりとも鬼籍に入られ、淋しいですね。(2013/10/18)

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「アンパンマンから「まんが学校」で学んだこと」の著者

とり・みき

とり・みき(とりみき)

マンガ家

熊本県出身。ギャグマンガをメインにしながら、エッセイコミックやストーリー物も手がける。94年『DAI-HONYA』98年『SF大将』で星雲賞、95年『遠くへいきたい』で文春漫画賞を受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

同世代女子です。まんが学校見てましたよ。親が「1」しか、見せてくれなかったので。談志師匠もやなせ先生も、ぜんぜんこどもに媚びないので、けっこう緊張感あった記憶があります。おふたりとも鬼籍に入られ、淋しいですね。(2013/10/18)

最後の最後で泣かされてしまった。素晴らしい追悼文。そして、やなせたかしさん、R.I.P.(2013/10/17)

やなせ先生は、ロジャー・コーマンとチャールズ・シュルツを併せ持った才能を持っていたのでしょうね。皮肉屋で、ユーモアに溢れ、世間への感謝を忘れない。やなせ先生に感謝の意味を込めて「バイバイキーン!」黙祷。(2013/10/17)

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