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倍返しなるか、日本の電池産業界

半導体、液晶、薄型テレビが歩んだ道をリチウムイオン電池も進むのか(下)

2013年10月31日(木)

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 過去2回にわたって、世界の電池産業の近年の変革を、技術経営に携わってきた筆者の経験を元に分析してきた。前々回の「シェア1位を奪われた原因はコストではなく慢心」では、民生用リチウムイオン電池で日本企業のシェアが低下した原因を分析。前回の「車載用電池、日本勢の強さの秘密」では、民生用と比較してワンランク上の信頼性を求められる車載用電池において、日本勢が優位にたっている理由を解説した。

 今回は、本シリーズのまとめとして、これらの背景を踏まえたうえで日本の電池産業が今後どうしていくべきなのかを考えてみたい。

サムスンでの業務を通じて見えたもの

 筆者は8年4カ月に渡ってサムスンに従事した。業務を振り返って見れば、日本人であること、そして自動車業界、電池業界、部材業界、大学や研究機関とのネットワークをもっていることで、多方面においてビジネスモデル創りをしてきたと自負している。以下、ピックアップしてみた。

(1)素材・部材メーカーとのビジネス戦略創りと量産への適用。リチウムイオン電池における素材メーカーとの連携により性能向上やコストダウンを実現した。

(2)合弁会社設立。リチウムイオン電池における正極材料メーカーである戸田工業との共同戦略によりサムスン精密化学との合弁会社を設立した(2011年3月)。

(3)電池工業会との関わりによる日韓協業と国際標準化。電池工業会への賛助会員入会から始まり、韓国電池研究組合との橋渡しによる交流開始と2011年11月に設立された韓国電池工業会との協力関係を構築した。さらには、08年3月からスタートした日韓によるリチウムイオン電池の安全性試験法国際標準化における共同戦線で協業に至った。

(4)自動車産業界とのビジネスモデル構築。2010年8月にスタートしたサムスングループの戦略であるが、サムスングループが自動車産業にデバイスや部材事業で貢献するビジネスモデル創りに関わり、日本の自動車産業との交流の突破口を開いた。リチウムイオン電池のほかに、車体素材やLED(発光ダイオード)、CMOSイメージセンサーなど幅広いビジネスモデルが可能となるよう、日本の大手自動車各社にて大規模展示会を開催するなど、サムスンの認知度を高めた。

(5)大学や研究機関との交流による活動。日本の大学や研究機関との関わりも強くもつべく、共同研究の実施、韓国国家プロジェクトへの諮問委員として日本の教授数名を招き交流するなど、日韓交流に一役買った。

(6)国際会議や展示会におけるプレゼンスの向上。国際会議への参加と講演、あるいは国際展示会などでの開会式へ代表として出席。経営陣との新たな交流の機会が増え、ネットワーク拡大の一助ともなった。

(7)講演会を通じたネットワーク発掘とビジネスへの連携。外部からの講演依頼が来た際に、主催側の信用度、対応した場合の効果などを吟味したが、経営層が集まる講演になればなるほどインパクトを与えることができ、そこからまた新たなネットワークが育まれている。

(8)韓国文化の理解による仕事の流儀構築。日本と韓国ではもちろんビジネス慣習の違いが生じるが、間に入って対応案を説明するなどで、進め方がスムーズとなるように手助けをした。

(9)情報収集ルートの開拓。人的ネットワークと信用が効果を発揮するわけで、そのためにもGive & Takeの基本を貫く必要がある。この信頼関係は一朝一夕にはできないことなので、地道な努力も必要だ。

(10)人脈創りの活性化。人脈はいくらあってもあり過ぎということはない。人脈が新たな人脈を創ることも事実で、社内外、とくに社外交流、異業種交流も有効な手法である。

「ことづくり」が実践できていない

 このような業務から見えてきた産業界、とりわけ日本の電池産業において競争力が低下してきた要因を客観的に分析すると、様々なものが浮かび上がる。以下、3つ述べてみたい。

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「倍返しなるか、日本の電池産業界」の著者

佐藤 登

佐藤 登(さとう・のぼる)

名古屋大学客員教授

1978年、本田技研工業に入社、車体の腐食防食技術の開発に従事。90年に本田技術研究所の基礎研究部門へ異動、電気自動車用の電池開発部門を築く。2004年、サムスンSDI常務に就任。2013年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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