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かなり「まとも」な阪急阪神ホテルズ

それでも偽装はなくならない

2013年10月31日(木)

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 阪急阪神ホテルズがホテルのレストランで、素材の産地などについて実態とは異なる表示をしていたことが社内調査によって明らかになった。

 こういう問題が生じると、よく職業人倫理が指摘される。それももっともな指摘ではあるが、筆者が思うに、食品偽装がこのように多く発生するのは個々人の倫理よりも構造的な問題、より具体的には情報開示や社内のガバナンスの問題であり、この構造的問題が解決されない限り問題は発生し続けるのだろう。

 さらに言っておくと、自主的に問題を発見して開示した同社の社内ガバナンスは、ある程度しっかりしているという印象を受けた。若干、危機対応として後手を踏んでしまっている感はあるものの、おそらく、同じような事態が発生した際に、同社ほどしっかりと対応できる企業はそう多くはないだろう。

 本件において問題とするべきは、ある程度社内管理がしっかりとしている同社においても、食品偽装の問題が起こったということだ。これは、食品業界における構造的な難しさを露呈しているもので、今回はそこについて書いていきたい。

「最悪」とまでいえない阪急阪神ホテルズの社内管理

 まずは、簡単に事実の概要をまとめておこう。こういう時にまず見るべきは当事者のプレスリリースだ。これは、阪急阪神ホテルズのウェブサイトから確認することができる。

 10月22日、阪急阪神ホテルズは、同社が運営する8ホテルと1事業部の23店舗、47商品でメニュー表示と異なった食材を提供していることが判明したというプレスリリースを出した。28日の午前9時までには1万494人に対し2263万円を返金したとされている。返金総額見込みは1億1000万円で、予想より下回った分については寄付をするという。

 飲食において、食中毒や表示偽装は命取りになる問題なのでこれは非常に深刻ではあるものの、個人的には同社の企業としての信頼性は相応に高いと改めて感じるようになった。その理由は主に2つある。

 まず、事実が判明した経緯は同社の自己調査ということになっていることだ。会社が自主的に探した結果なのか社内告発の結果なのかは分からないが、世の中の少なくない企業は、内部者が外部に対して告発されるまで(場合によっては、もう申し開きが出来ないことが明らかになるまで)自身でこういった情報を公表しない。近年の不正の多くと比べてみたら明らかだ。

 また、同社のリリースでは偽装の点数や利用顧客数などまで詳細に書かれていることだ。相当にきちんと調査をした上でのリリースだったことが分かるし、そもそもこういった情報がきちんと取れるくらいには社内管理がされていたということも分かる。こういった偽装の問題において、本当にダメな企業であれば、それがどの範囲にまで及ぶのかをきちんと数値に直して報告できないことがほとんどだ。

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「かなり「まとも」な阪急阪神ホテルズ」の著者

慎 泰俊

慎 泰俊(しん・てじゅん)

投資プロフェッショナル

東京生まれ東京育ち。朝鮮大学校政治経済学部法律学科卒、早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。モルガン・スタンレー・キャピタルを経て現在はバイアウトファンドの投資プロフェッショナルとして働く。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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