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壊れつつある民主主義をどうするのか

ギリシャの知恵をメディアが担うべし

2013年10月31日(木)

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 世の中には関係者がみんな、「あれは行き詰っているなあ」と思っているが、なかなかやめるわけにいかないものがある。例えば、マンネリ化した社内運動会、年末の“×△歌合戦”などなど…。

 この辺はたいした実害がないのでまだいいが、最もやっかいなものが「民主主義」である。昨今の米国議会の混迷ぶりはもとより、最近までのわが国のねじれ国会のていたらくを見ると、よくいわれる議員の質云々の問題ではなく、そもそも「民主主義」自体が機能しなくなっている気がする。もちろん個人の人権を踏みにじる全体主義や独裁の方がいいなんてことはあり得ない。法の下の平等や国民主権、基本的人権を保障する民主主義は、やめるわけにいかないし、やめる意味もない。

 しかし、それとセットで作られてきた「民主政治」の仕組みは、どうみても制度疲労をきたしているのではないか。

民主主義とは代理人に裏切られる仕組み?

 考えてみていただきたい。私たちは自分で払った税金の使い途や社会のあり方にちょっと口出しするだけでも、ずいぶん面倒な手続きを強いられる。

 そもそも、自分では国会に行って自由に意見を言えない(マンションの管理組合ならいいが)。それで、まず代議士を選ぶ。誰が選ばれるかは多数決で決まるので、投じた票が死に票になることも多い。仮に自分が支持する代議士が当選したとしても、その人が全ての法案や予算案であなたの意見を代弁するとは限らない。仮に代弁してくれたとしても、議会では多数決でものが決まる。議論の過程では少数意見に配慮するものの、まあ多数派が押し切る。

 フランスの思想家アレクシ・ド・トクヴィルは既に19世紀に「民主政治とは多数者による専制政治だ」と喝破し、民主主義の限界と欺瞞性を言い当てていた。今の現実はまさにその通りで、先進国の議会はどこも目先の利害に走る多数派の議員(そして気まぐれな有権者)に振り回され、迷走している。その結果、政府は、多数者にこびて予算をばらまき、各国の財政は軒並み赤字に陥っている。

 私たちはなんとなく「民主主義=みんなの意見で仲良く決める=いいこと」と考えがちだ。しかし民主主義とはむしろ51:49でかろうじて勝った多数派が100全てを取ってしまう強烈なレバレッジ装置であり、多数派による権力支配の仕組みなのだ。ちなみに自民党が大敗した2009年の衆院選(比例選)で得た投票率(比例選の26.73%)とほぼ同じのわずか27.62%で政権を得ているのも、ひたすらこの多数決の原理のおかげである。

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「壊れつつある民主主義をどうするのか」の著者

上山 信一

上山 信一(うえやま・しんいち)

慶応義塾大学総合政策学部教授

1957年大阪市生まれ。京都大学法学部卒。米プリンストン大学公共経営学修士。旧運輸省、マッキンゼー(共同経営者)を経て現職。専門は経営戦略と行政改革。九州大学ビジネススクール客員教授。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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中村 克己 元ルノー副社長、前カルソニックカンセイ会長