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なぜユニクロだけ“ブラック叩き”にあうのか

ユニクロの影に隠れるあまたの真のブラック

2013年11月1日(金)

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 「株式会社ファーストリテイリングおよび株式会社ユニクロは本日、本年10月18日に東京地方裁判所にて下された、株式会社文芸春秋に対する控訴の判決を不服として、東京高等裁判所に控訴しました」
 10月29日、こんなペーパーが手元に届いた。

 ユニクロなどを展開するファーストリテイリングは、かねてから文芸春秋に対して、名誉を傷付けられたとして損害賠償などを求める裁判を展開していた。
 きっかけは2つの媒体にある。文芸春秋の週刊誌「週刊文春」2010年5月6、13日合併号と書籍『ユニクロ帝国の光と影』だ。これらの中で、文芸春秋側はファーストリテイリングが国内のユニクロの店長や中国の生産工場で働く工員に過酷な長時間労働をさせていると表現した。中でもファーストリテイリング側が争点にしたのは次のポイントだ。

 国内のユニクロでは、2007年までは店長が長時間労働をしていたことと、2007年4月以降も、とある30代現役店長の取材を通して、「11月、12月は月300時間を超えて働いている」というコメントを掲載したこと。また中国の生産現場では、「ユニクロの納期を守るため恒常的に午後9時以降まで残業があるが、ユニクロは工場の労働環境に興味がないと判断した」と記述したことだ。

 ファーストリテイリング側はこれらの記事に対して、次のように抗議してきた。まず国内のユニクロ店長の長時間労働については、「以前から店長の労働環境の改善策を継続的に講じているほか、サービス残業を厳しく取り締まっている。万が一にもサービス残業が発覚した場合には、懲戒処分の対象にするなど、厳格な態度で臨んでいる」。中国にある生産工場の労働環境に対しても、「生産委託先の工場に対して安全かつ適正で、健全な労働環境の継続的な実現のために、コードオブコンダクトの遵守を求め、外部監査機関とともに現場での聞き取り調査も含めた厳格な検査を実施している」、と。

 そして判決の出た10月18日、東京地裁はファーストリテイリング側の請求を全て退けた。判決を下した土田昭彦裁判長は「取材に対して、月300時間以上働いていると本で証言した現役店長の話は信頼性が高い」「(中国工場の)現地取材などから真実と判断した理由がある」と指摘した。
 この判決を不服として、ファーストリテイリング側は東京高裁に控訴。冒頭の文書は、それを説明したものだ。

 一連の騒動を受けて、インターネット上では「ユニクロが裁判所から“ブラック認定”された」などという趣旨の発言が広がっていった。

 「ブラック企業」――。この言葉が生まれたのは1999年頃のことだという。当初は匿名掲示板の隠語の1つにすぎなかった言葉は、今や若者ばかりでなく、幅広い世代に広がっている。
 ブラック企業の明確な定義はなく、広義には労働者を酷使し、使い捨てにする企業を指すと言われている。これを拡大解釈して、厳しい社員教育を実施したり、体育会系の社風があったりする企業まで、ブラックと呼ばれるケースも出てきている。

 ひとたび“ブラック認定”されれば、採用や業績にも大きな打撃を与えるとして、日経ビジネス本誌でも2013年4月15日号特集「それをやったら『ブラック企業』」で、ブラックと呼ばれないための企業側の対策を掲載した(日経ビジネスオンラインでは、連動企画も展開)。

 同特集の中では、インターネット上などでブラックと呼ばれる企業にも話を聞いた。また私自身は、あらゆる業界の中でも、比較的ブラックと呼ばれる企業が多く存在する小売り、サービス業を取材することが多い。実際にブラックと呼ばれる企業に務めるビジネスパーソンから個人的に話を聞く機会もある。

 そこで今回のファーストリテイリング対文芸春秋の裁判の経緯を見ながら、1つの疑問を感じていた。なぜユニクロだけが、まるで「ブラック企業の象徴」であるかのように批判を受けているか、ということだ。

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「なぜユニクロだけ“ブラック叩き”にあうのか」の著者

日野 なおみ

日野 なおみ(ひの・なおみ)

日経ビジネス記者

月刊誌「日経トレンディ」を経て、2011年から「日経ビジネス」記者。航空・鉄道業界や小売業界などを担当する一方、書籍編集なども手がける。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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