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隣国との関係を、改めて考えよう

第5回 世界の中でフェアとは何か

2013年11月15日(金)

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 筆者の40年近くの親友であるビクター・ファン氏は、香港を拠点に活躍する真のグローバルエリートである。米国・中国・アジア諸国とも、特別に太く親しいパイプを持つリーダーだが、大の日本びいきでもある。日本・香港経済委員会の香港側委員長も長く務めていたし、東日本大震災の時は驚くほど膨大な額を個人として寄付をしてくれた。

 しかし彼のご両親は実は第2次世界大戦中、日本軍の為に大変苦労した。日本軍の広東攻略で、2代目で既に大成功していた家業の大商社が崩壊し、命からがら香港へ逃げてきた人達だ。自分達の命は助かったが、親戚・友人が多く命を落とした。筆者はそのビクターの父君であるファン・フォン・シュウ氏(既に故人)もよく存じ上げていたが、日本が好きで、晩年は時々箱根に行って富士山を見るのがお好きであった。ビクターも日本の良いところを実によく見ていて、バブル後の“失われた20年”の間も日本を信じ続け、対日投資も続け、日本の友人との関係を極めて大事にしていた。

 過去のファミリーの経験にかかわらず、それだけの親日でありながら1つだけ父君もビクターも顔をしかめることがある。彼らにとっての対日関係は今と将来が大事で、日本に苦労させられたことは過去のことでもういいのだ。ただ1つの事がきちんとしていれば…。

 それは、日本が、日本人が、近隣諸国に対し過去に大変な迷惑と苦渋を与えたということを歴史的に認識していること、そしてそうした軍閥の責任者が今や日本でヒーロー扱いになっていない、ということ、だという。残念ながら、彼らはそうした点を蒸し返されていると日本に対して感じる時、どうしても顔をしかめてしまうのだ。

親日家ですらうっすらと涙を浮かべた

 韓国の韓国板ガラス社の大株主で会長であったタイ・スップ・チョイ氏(既に故人)は日本の統治時代の教育を受け、日本人以上に昔の日本人を思わせる礼儀正しい方で、日本語もペラペラであった。タイ・スップ・チョイ氏とその令息のユン・ズン・チョイ氏にはソウルでどれだけご馳走に与ったかわからない。この人達は文化的に本当に日本が好きなのだ。しかしある晩、温厚なタイ・スップ・チョイ氏が酒も入ってのことであったが、突然額に青スジを浮かべて、声を押し殺して怒った。筆者も驚いたが、彼が若い頃の日本の統治時代の話をしていた時だったが、突然思いがこみ上げてきたのだろう。

 自分の国なのに、いかに韓国人が差別・抑圧されていたか、日本軍が朝鮮人に対して如何なる態度であったかを目にうっすらと涙をためて、もとの温厚な笑みに戻るまでの5分間、一生懸命爆発を抑えている様だった。この人もやはり心の底で怒りが消えていないのだなという事をつくづく感じた。韓国人は今でも、昔の日本の様に、国と個人を一心同体に見ているところがある。若いユン・ズン・チョイ氏も日本人の歴史感覚には不満を持っている。

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「隣国との関係を、改めて考えよう」の著者

安田 信

安田 信(やすだ・まこと)

安田信事務所社長

1937年生まれ。学習院大学卒業、米イリノイ大学大学院修了(会計学修士)。日・米・アジアなどにおける数多くの多国籍企業の世界で40年を超えるキャリアを持つ。87年、安田信事務所設立。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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