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クール宅急便問題と小倉昌男の凄み

恥を忍んで会長職に復帰した当時にやったこと

2013年11月19日(火)

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 「サービスが先、利益は後」。小倉昌男の有名な言葉だ。運輸業の常識を破る宅急便を成功させるには、まず消費者の利便性を最優先しなければならない。そうすれば必ず消費者に支持されて利用が増え、利益は後からついてくるという考えである。またフェアな行動を何よりも重視していたことでも知られている。

 しかし、こうした小倉のモットーと相違する事実が最近発覚した。「クール宅急便」のずさんな温度管理の問題である。ヤマトホールディングス傘下の事業会社であるヤマト運輸が売り物にしているサービスである。うっかりすると、タガが緩んでしまう組織管理の難しさをまざまざと見せつけた。

ずさんな温度管理より深刻な組織上の問題

 この問題の本質を考えると、大和運輸(現ヤマトホールディングス)社長として宅急便を創始した小倉の凄みが皮肉にもよく理解できる。朝日新聞が10月25日付朝刊で報じた「常温で仕分け」と11月5日に報じた「配達も常温」という失態は、社内ルールの違反である。

 クール宅急便は、冷蔵で10℃以下、冷凍でマイナス15℃以下の低温で、運ぶ決まりになっている。ただし配達先別に仕分けたり集配したりする時に外気に触れる。このため、例えばコールドボックスと呼ぶ保冷コンテナに、荷物を仕分ける時間を5分以内などと規定している。ところが同社の調べでは、全国約4000カ所のうち約5%で、ルールが守られていなかったという。

 より問題なのは、2012年12月に関西地区で常温輸送があって、専門の組織を設けて対策に取り組んでいたことだ。それにもかかわらず今年6月には大手スーパーから改善を求められていた。対策が徹底できなかったところに、今回の内部告発による朝日新聞の報道である。ヤマト運輸の広報担当者は「社内の風通しに問題があったのかもしれない」と述べている。

 対応が後手に回ったことは、ずさんな温度管理そのものよりも、組織上の問題を示しており深刻な事態といえる。ヤマトホールディングスおよびヤマト運輸は11月中に、信頼回復をかけて抜本的な改善策を発表する予定である。どのような企業でも問題は起きる。重要なのは、実効ある対策をきちんと講じられるかどうかである。

 20年前、小倉は恥を忍んで、経営の緩みを引き締めるために、退いていた会長に復帰した。『経営はロマンだ!私の履歴書』に、その時の状況をこう書いている。「経営から徐々に引いていくつもりだった。ところが、組合から聞き捨てならない情報が上がってきた。営業所長など現場のトップが車両や荷物の事故を本社に報告せず、隠すケースが増えているという。調べてみると事実だった。管理職としての傷がつくのを恐れたのだろう」

コメント9件コメント/レビュー

ジョブズ氏亡き後のアップルと同様に、小倉氏亡き後のヤマト運輸も「あとは衰退するのみ」となるのでしょうか・・・・(2013/11/23)

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「クール宅急便問題と小倉昌男の凄み」の著者

森 一夫

森 一夫(もり・かずお)

ジャーナリスト

1950年東京都生まれ。72年早稲田大学政経学部卒。日本経済新聞社入社、産業部、日経BP社日経ビジネス副編集長、編集委員兼論説委員、コロンビア大学東アジア研究所、特別編集委員兼論説委員を歴任。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

ジョブズ氏亡き後のアップルと同様に、小倉氏亡き後のヤマト運輸も「あとは衰退するのみ」となるのでしょうか・・・・(2013/11/23)

間接部門を減らすのもちゃんと現場が回るように行わなければ意味がない。新しいサービスを始めてもバックアップをするシステムがないから全部「現場の配達員の個人的注意力」に掛かってしまう。今荷物が何処に有るか配達員に聞かなければ判らない配送システムを何とかしてくれ。連絡を取りたくても必ず10分以上掛かる社内伝言板を何とかしてくれ。チェックリストも何も無い出荷確認システムを何とかしてくれ。(2013/11/19)

バイト2カ月しか雇わない。3カ月以上雇うと、雇用保険入らにゃならんからだろ。それじゃ、人も育たんわ!(2013/11/19)

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